[東京喰種]喰べたいけど喰べたくない。番外編。[月山習]

パパン。 ページ16

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「君が習くんの…!」


「あ、はは」



乾いた笑い声しか出ない。


もっと頑張れよあたし。



なんであいついねぇんだよぶっ殺すぞ。



「初めまして。…えーっと、…黒知Aです」


「月山観母です。よろしく」


「よろしくお願いします……」



内心とても胃が痛い。


喰種なのに。


喰種なのに胃に穴が開きそう。



「…習くんが夢中になるものわかります」


「…かれこれ10年以上ストーキングされてるんですがどうしましょう」


「Aさんが素敵なんですよ」


「……そういうの、慣れてないので…」


「習くんは言うでしょう?」



そう言われて苦笑い。



「あの人は…まぁ、毎日のように言われてたので…」


「本当に好きなんだね」


「……あー…はは」



苦笑いしかできねぇ。



でも、少し疑問に思うことがある。




「あの…」


「どうしました?」


「……あたし、でいいんですか」


「…どういう意味かな?」


「なんというか…、その、ガラが悪い…いや、そういうことじゃないんですけど、…いわゆるオジョウサマでもないし…」



ダメだ、何言ってるのか自分でもわからん。



「とにかく、本当に。いいのかな、と」


「私はね。習くんが選んだ人ならいいんだよ。それに、Aさんは素敵だから」


「……ありがとうございます」



…以外とまともだということに驚きを隠せない。


いや、すいません。ほんと。



「Aさんはご両親のどちら似かな?」


「え?…そうですね、母…ですかね。でもどっちにも似てるって言われます」


「…習くんはね、母親似なんだよ。私とはあまり似てないだろう?」


「……綺麗な方だったんでしょうね」



だってあいつは鏡を一日中でも見れる奴だからね。


さすがに引くわ。



「でも、月山…さんにも似てると思いますよ。結構優しいとこありますから」


「パパンと呼んでくれてもいいんですよ?」


「あ、遠慮させて頂きます」


「…残念……」


「…じゃあ、間をとってお義父さん、で」









「A!」


「んだよ」


「パパンと会ったのかい!?」


「あぁ…うん」



頷く。



「どうして言ってくれなかったんだい!」


「お前まで来たらあたしの胃に穴が開くわ」



良かった。開かなくて良かった。


ぐっと背伸び。



「……母親似、ね」


「何か言ったかい?」


「なんでも」







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