[東京喰種]喰べたいけど喰べたくない。番外編。[月山習]

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「飼ってた犬に……」



……。



静寂が訪れた。


あ、あれ、幻聴かな。



「い、犬?」



江利が言った言葉に頷いた。



「真っ黒でサラサラの毛並が……セルティ!」



思いっきり抱きつかれて思わず後ずさり。


セ、セルティってこれか。



「ぶはっ!!……いっ…犬!!」



爆笑する江利を睨みつけた。


覚えとけ……。



「あ、あの、私、…ほんとに悲しくて……」


「…はぁ」


「すいません……」


「……Aでいいならいつでも貸すよ?」


「は!?」


「わかるわかる。Aって犬っぽいよね。かっこいいしね。男みたいだよね」


「…女の子なんですか…?」



再びフリーズするあたし。


えっ……。



「スカート履いてんだけど……」


「えっ!?あっ、本当だ!すいません度々!!」


「あっははははは!!制服着てて男に間違えられるとはね!!」


「江利……」


「ごめんなさい……」



眉を下げて謝る……そう、佐伯雫を見た。



「別にいいけど……」


「えっ……」


「程々になら。…あたしも……犬飼ってたし」


「……ありがとう!!」



抱きつかれた勢いで倒れ込む。



「わー、大胆」


「やめろっ!!これはダメなやつだ!!」








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「ってなことが昔ありまして」



「犬っ……」



隣で肩を震わせる習に会心の一撃。



「A……色んなのに間違えられすぎだろ」


「あたしが文句言いてぇわ!!」


トーカに叫ぶ。


挙句の果てには人ですらねぇぞ!喰種も人じゃねぇけど!



「で、そのおっちょこちょいなレディは今どこにいるんだい?」


「イギリス」


「……ん?」


「イギリス」



頷いてもう一度。



「あいついいとこのお嬢さんだったらしくて、イギリス行っちゃった」


「連れていかれたらよかったじゃん」


「おかしいだろ?」



考え直せトーカ?



懐かしいな、元気かな。





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