#52 ページ2
赤「…(柔らかい…)」
口づけしたまま
そう思ってしまう。
それほどに柔らかい。
Aは驚いた顔で
何か言おうと口を開く。
その隙に舌を滑り込ませた。
貴「ふ…ぁ……征…っ」
ぎゅうっと僕の服を掴みながら
名前を呼んでやめてほしいと
訴え続ける。
そんなんでやめるわけないだろ、
逆効果だって。
今にも崩れそうになる
Aの腰に手を回して
僕の脇に座らせた。
貴「んんっ…やめ…」
赤「……」
考えてみれば、Aには
彼氏が居るんだよな…
Aの全てがソイツので
やりたいことだってできる。
腹立たしい。
___ばっ
貴「やめてってば!」
息が苦しいのか
肩で息をしながら
僕の肩を押し出した。
それを無表情で見る。
貴「どうして、どうしてこんな」
どうして?
好きだからに決まってる。
最初は気づかなかったけど、
Aの彼氏なんかより
ずっと好きだった。
こんなことにも気づかないのか?
貴「こういうことは…
好きな人とするものでしょ?」
それがお前なんだって…。
なんでわからないんだ。
言葉にするって難しい、
改めてそう思う。
〝好き〟なんて
到底言えない。
赤「なんでもって言ったのは
Aだろう?」
顔を真っ赤にして
唇を噛みしめるA。
表情は困ったように
曇っていた。
貴「そ…れだけ…?
それだけで私にキスしたの?
私…私には…
〝彼氏〟いるんだよ?」
ズキッと心が痛んだ。
やめてくれ、聞きたくない。
更に尚言おうと口を開くAを
引き寄せてまたキスをした。
これ以上Aの口から
彼氏なんて言葉は聞きたくない。
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作者名:赤新羅シセナ | 作成日時:2014年3月22日 13時