狙われる立場 ページ10
軽く自己紹介を済ませると
アルアジーム先輩は、談話室に並べられた料理を見渡しながら
僕の隣に腰かけた。
カリム「今日の料理も美味そうだ。
出来栄えはどうだ、ジャミル？」
ジャミル「いつも通りさ。どの大皿にも危ないものは入ってないから
安心して食べていい。毒味も済んでる。」
グリム「むがッ！？ど、毒味！？」
『グリムと僕に最初に食べさせたのはそれか…』
僕も若干だが、さっきグリムをそういう風に扱ってしまったから
特に文句を言える立場ではない。
というか、普通の学生相手に毒味が必要って…何者だ、アルアジーム先輩。
ジャミル「カリムは熱砂の国有数の大富豪の跡取りなんだ。
命を狙われることも少なくないから、毒味は必須でね。」
カリム「いつも大袈裟なんだよ。ジャミルは。
食事に毒物混入なんて…
4年前に2週間昏睡状態になったのを最後に
最近はぱったりなくなってるし。」
ジャミル「この4年はちゃんと毒味役が付いたから無事だっただけだ。
お前に食わせる前に毒が盛られた料理は処理してる。」
会話が物騒すぎるが、そういう立場ならその警戒は妥当だと言える。
寧ろ、アルアジーム先輩に危機感が欠けているとまで思うほどには。
普通の人間なら、食事をすること自体に抵抗があってもおかしくはない。
カリム「A…だったよな？どうしたんだ、そんな浮かない顔して。
心配しなくても、ジャミルの作った飯なら安心だぞ。
ジャミルは絶対に俺に毒を盛ったりしない。」
ジャミル「ふっ…何を当たり前のことを言ってるんだ。」
オクタヴィネルのあの3人とは、また違う雰囲気の上下関係。
会話自体は物騒だが、アルアジーム先輩からはジャミル先輩への絶対の信頼を感じる。
でも、なんでだろう。
厨房での嫌な予感のせいなのか
ジャミル先輩に感じた同族嫌悪のせいなのか
なぜか、決して平穏に終わる気がしないんだ。
カリム「だから楽しんでいけよ、A、グリム！
食べ物も飲み物もじゃんじゃん持ってこい。
音楽も、もっと盛り上がっていこうぜ！
今日は宴だ！」
食事の途中で帰るなんて、流石に失礼極まりない。
とりあえず、宴とやらが終わるまではこの寮にいることにしよう。
グリムも、毒味役にされたことも忘れて楽しんでいるようだし。
『…エースたちも、いてくれたら…な。』
カリム「……」
ないものねだり、そんなことは分かっていても
あんなに賑やかな彼らを知ってしまえば
今の時間は、あまりにも静かすぎる。
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………！更新楽しみにしてます！ (2022年9月24日 18時) (
レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か？？？好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ！ (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天空の巫女 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時：2021年8月1日 22時
