Episode.27 ページ4
『蛇に睨まれた蛙』
今の私にはきっとこの言葉が合っている。
大輝のその眼には、息さえ止めるほどの迫力を持っていた。
過去に一度、経験した事があるこの感覚。
逸らす事なんて出来なくてただ見つめるだけで、だけど大輝は一向に視線を外そうとはせずに私を見続ける。
この眼は、正直怖い。
心の奥まで覗かれている様な感覚に陥る。
「…大輝？」
「……なに」
私がそれから逃れるように口を開くと、その眼を伏せてそう呟いた。
ああ、良かった。
ホット胸をなで下ろす様に、緊張で伸びきった背筋が元に戻った。
「…つか、何で赤司には何も言わねぇの」
「い、言える訳ないでしょ！」
「何で？」
「何でってそりゃ……分かってるくせに！」
「分かんねぇから聞いてんだよ」
「んな意地悪しないでよ…」
「意地悪とかじゃなくて、真剣に聞いてんの」
何を言ってるの？
大輝は、私から何を聞きたいわけ？
そういう思いが顔に出てたのか、大輝ははあ、とため息をつきそれに答えるように口を開いた。
「お前はこれから先、アイツとこのままでいいのかよ」
『A。』
ああ…頭に響いていく優しい声。
何年かかっても消える事がなかった。
それは、単純に聞き慣れて忘れられないからなのか。
…それとも私が、忘れたくないからなのか。
「…どーなんだよ。」
「まあまあ！大輝待ちなよ。
そんなにいっぺんに言ってもA困っちゃうって」
「…ごめん、ありがとう。」
「……ちっ」
大輝は舌打ちし、机に置かれた缶ビールのプルタブに指をかけ開け喉に流し込む。
そのひと動作からでも大輝の機嫌が悪い事は明らか。
怒らせちゃったかな…
「でさ、A、悪いんだけどね？
私もどちらかと言うと、大輝側なんだわ」
「へ？」
「いやね？あんたが赤司と今のままの関係が良いんなら、私達は何も言わないよ？
けどさ、やっぱりそうじゃないでしょ。
赤司はどう考えても、あんたと前みたいな関係に戻りたいと思ってる。私達もそれを望んでる。」
「…うん」
「ぶっちゃけあんたもじゃないの？
ていうか、どう見ても、そうとしか思えないんだけど」
私も？
私も、赤司くんみたいにそう思ってる？？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羅夢(プロフ) - yukakdonaldさん» そう言ってもらえると本当に嬉しくて心の支えになります^ ^ありがとうございます。 (2017年11月6日 20時) (
レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
yukakdonald(プロフ) - 続きがすごい気になります！更新待ってます！ (2017年11月5日 13時) (レス) id: 9b227061d2 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - KANAさん» 嬉しいです！！！本当に力になりますありがとうございます(^^) (2017年8月17日 16時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
KANA - この作品 スゴく面白いです！これからも読ませていただきます！更新頑張ってください！！ (2017年8月10日 18時) (レス) id: 3e35f2b141 (このIDを非表示/違反報告)
*。赤司 妃奈 。* - コメント読みました！私は、これからも、この作品を読むので続き頑張ってください！！応援してます^^ (2017年7月27日 14時) (レス) id: 97081c23e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羅夢 | 作成日時：2017年6月5日 22時
