100万回の愛してる、【佐野真一郎】

切愛.9 ページ9

貴「佐野さん、お待たせしました」
真一郎「はいっ！待ってないっす！」

そう言いながら振り返った先には
当たり前だけどAさん

前見たときはパンツスタイルだったけど
今日は上品なスカートだ

可愛い…
バイク乗らねぇからスカートなのか？

なんでもいいや、可愛い
貴「佐野さん…？大丈夫ですか？」

真一郎「あっ、全然、大丈夫っす、」
やべ、可愛すぎて見惚れてた

貴「そうですか？じゃあ、入りましょう」
真一郎「はい！」

Aさんの隣に並んで建物に入る
慣れた様子でエレベーターに向かいボタンを押す

…ホントに通ってんだな
ワカの言った通りだ

貴「佐野さんは普段どんな映画を観ますか？」
真一郎「えっ、」

急な質問に思わず声が裏返る
Aさんが質問してくれた

LINEでは俺ばっかしてたから嬉しすぎる…！
でも映画は普段観ねぇし答えらんなくて泣きそう

真一郎「映画はあんま観ないんすけど…アクションとかが好きっす…」

貴「え、ごめんなさい…！私に合わせてもらっちゃって…他に行きたいところあったんじゃ…」

申し訳なさそうに眉を下げる彼女
…くっそ可愛い

真一郎「いやっ、観るのは好きなんで！それにAさんが好きな物知っときたいですし！」

そう言えばAさんは少し驚いた顔をしたあと
嬉しそうに顔を綻ばせて笑った

真一郎「かわいい…」
思わず小さく呟いた

目当ての階で降りてチケットを購入する
貴「入場開始までもうすぐですね」

真一郎「あ、飲み物とか大丈夫っすか？」
そう聞けばAさんは優しく笑いながら

貴「ありがとうございます、私は大丈夫です。佐野さんは何か買ったりしますか？」

Aさんはなんも買わねぇ派なのか
真一郎「俺も大丈夫です！」

そんな話をしているうちに入場開始のアナウンスが
貴「もう入っちゃいましょうか」

Aさんに誘導されて5番スクリーンに
映画館久しぶりに来たな…

貴「佐野さん、足元気をつけてくださいね」
真一郎「ありがとうございます」

…ん？
Aさんのがイケメンじゃね？

このままだとAさんに
ワカくんの方がスマートだった♡とか言われちまう！

それはヤバい
どうにか取り戻さねぇと

スマートな男ってナニ！？
ワカだったらこっからどうするんだ！？

荷物持つとかか？
いや、そりゃあねぇよな

だってシートまであとちょっとだし…
…わかんねぇわなっ！

だって俺ワカじゃねぇし！？
俺あんなモテねぇもん！

くっそ…
自分で言ってて悲しくなってきた

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