第36録 雨の天幕 ページ43
「名前教えてくれたら離してやるよ」
カードが回転する。
お前はAかと訪ねてくる。
『私は、』
どくりと手にイノセンス、心臓の脈を感じる。
『私は――――ッ……』
名前を告げようと息をすると、船にいた中国男子がノアの胸に拳を突き入れた。
「エクソシスト様を放せ、化物！！」
「チャオジーさん…ダメ…」
『お前らやめろ！』
他の中国男子も武器を構えていた。
それを制する様に手を翻す、
「シラけんなぁ、ティーズ。
喰っちまえ」
『やめろっっ！！』
ノアの下から刃が現れ、足元を崩した。
「危ねっ、今日は客が多いな」
『神田っ』
何も言わずに神田が追撃する。
『ちょっと、神田！リナがいるんだぞ！？』
今にもリナリーに当たりそうだった。
『待てって、バカ！』
止まらない。
『あぁもう！』
案の定、リナリーは神田に投げられ囮にされている。
ノアの攻撃をラビが防ぎ、ノアは舌打ちした。
『……』
「またなお嬢」
『二度と来るな』
ノアが離脱する。
マリが捕捉した巨大化したAKUMAを神田がぶった斬り、ラビに怒った。
それにしても、何故ノアは離脱した？
神田は強いが離脱する程か？
『ッッ――――！！！？』
嫌なプレッシャーがのし掛かる、まるで世界が変わってしまうような？
Aは江戸城を見上げた。
伯爵が空中に浮いている。
――アレは、危険よ……逃げるの……
空中に丸い黒い玉、見た瞬間に悪寒が走る、“ 誰か ”が囁く……
『おい！お前ら！！早く退け！！！！伯爵が何かするぞ！！！』
アレは、危険だと……。
『っ、“
何度も何度も、鉈の様なイノセンスで…本当の力で味方をガードする。
『“ 雨の天幕 ”！』
何度も、何度も……私が守るんだ。
しかし、伯爵の攻撃はAの技をも飲み込んだ。
『ら、びっ』
「Aッ……何を？」
せめて、後ろに居る彼らだけでも……
声を上げたラビに、にこりと微笑むとイノセンスを最大解放する。
『最大、解放ッ“
オーロラの様な光が、三人を包んだ。
「あらら〜あのお嬢、伯爵の攻撃を……」
やっぱ油断なんねぇわイノセンス、と小さく呟くティキへ不満そうな千年伯爵がフワフワ近寄る。
あの子、君のカードに書いてある子ですよネェ…とティキを睨む、それを無視する形でティキは話を反らした。
「うわ〜、惚れるね千年公。怖え〜、江戸がスッカラカンだよ」
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作者名：名取針子 | 作成日時：2019年4月15日 19時
