第五十八夜 好意。 ページ27
────────
────
─
ガタガタと珈琲を持つ手が震え 膝もガクガクだ。
(無理無理無理無理)
恐る恐る彼の部屋のドアをノックしようとしたら 彼の部屋が思いきり自分の向かいの部屋だと知り更に手がガタガタと震える。
深呼吸して部屋のドアをノックすれば即答で「どうぞ」と返事が返ってきた。
「………おや、メルレムさん。どうしたんですか?」
「────珈琲……淹れた やる」
つんとした態度を可愛いと思いながら彼は笑顔でそれを受けとる。
「どうぞ、どこかお好きな場所に腰掛けてください」
「えっ!?」
「あ、もう帰りますか?ならば見送りを………」
「い、いや寝れないから…………！」
顔を赤くし 下を向きながらもじもじとする彼女の腕を引き、ソファの位置まで誘導すれば彼女を座らせ隣に自らも腰掛けた。
「………メルレムさん」
「ふぁっ!?あ………」
「ふふっ……シンドリアはどうです?素敵な国でしょう」
「………大、好き………」
それはよかった、と微笑む。
「あぁ、珈琲美味しいです。ありがとうございます」
「いや、別に………いつでも、できる…」
「きっといい奥さんになれますよ」
「！！」
がくりと内心項垂れるが、表情はいつも通りのつんとした無表情である。
「何なら私が貰いたいくらいですよ」
「！！？えっ!?」
もちろん彼は冗談半分なのだが、純粋無垢な彼女は顔が真っ赤に染まり 彼も 何かいけないことをした と少しばかり焦り、どうしたことかと彼女の頬を撫でた。
「ひぁっ…冷た………！」
「あっ、すみません」
初々しい会話に、ドアの前にいたAとシンドバッドは微笑みながら自室へ帰る。
「ジャーファル殿も随分な天然だな」
「あいつも純粋だからなぁ」
「おまえとは違ってな」
「………………」
かつかつと靴の音が響く合間に、唇の重なる音が交じった。
「ばか」
「おまえは随分純粋だな」
「シンは正反対だ」
「ったく………」
───翌朝の出来事だ。
Aとシンドバッドが共に朝食へ向かうと、途中でとんでもない光景を目にした。
「昨日はすごかったですね」
「………眠れなかった」
意味ありげな会話をしながらジャーファルの部屋から出てくるジャーファルとメルレム。
(あいつら大人の階段上ったのか)
(私に聞くな)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
阿呆代表の神(プロフ) - シンドバッドの冒険は漫画のタイトルです。「シンドバッドの冒険書」だと思います。 (2020年9月7日 16時) (
レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - これはどちらでもいいと思いますが、態々女子(おなご)と言わなくても、乙女などと言えばいいと思います。いちいちすいません。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作は気のようなもの、空を飛ぶのは…私はよく分からないですが、風魔法辺りかなと思います。詳しく知りたいなら調べましょう。魔導師ならまだしも、魔力操作を使える人でも、魔導師じゃなければ空は飛べませんので、魔導師以外の人が空を飛ぶのは可笑しいです。 (2020年9月7日 15時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作では空を飛べませんよ。飛ぶのは魔法です。 (2020年9月6日 22時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - 質問です。このお話は原作何年前のお話なんでしょう？シンドバッドが19だから10年前ですか？ (2016年3月13日 4時) (レス) id: 456fd0dd8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
