検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:54,702 hit

第四十二夜 衝動。 ページ11

一方、シンドリアでは。

「王様、Aたん知らな…………王様?」
「…………連れて、行かれた。」
「え……?」
「ジュダルに、拐われた。」

 そんな、とピスティは膝を落とした。彼女は、ヤムライハ以外に初めて出来た女友達を連れ去られたと聞いて 心底涙を流す。
 そんな中、一人だけ違う様子の女がいた。
 Aの従者である、メルレムだ。
 漆黒の光を宿さない瞳は、鮮血の様に紅に染まり ただならぬ様子が見てとれた。

「A様 連れていかせない 僕 守る…!!」
「!貴女、だぁれ?」

 ピスティがメルレムに問う。

「……僕は メルレム。A様の 従者。」
「そうなんだ。でも、Aたん達を追うのは無茶だと思うな。」
「無茶じゃない、行かせろ!!」
「一人じゃ、死んじゃう!それに、キミまだ眷属器発動してないんでしょ!?」
「確かに僕は 眷属器発動してない…そんなに強くもない。けど Aの従者は、僕なんだ!!」
「……!でも…………っ!!

!?あれ、王様は!!?」

 ピスティが困り果ててシンドバッドの方を見ようとしたが、その視線の先にシンドバッドの姿はなかった。
 シンドバッドは、バアルの魔装をすると メルレムの腕を引き、空へと舞い上がる。
 それに必死に着いていこうと、ピスティは紅笛を鳴らすと すぐさまやって来た大きな鳥の背中に乗り、二人を追いかけた。
 魔装の速さには着いていけないが、姿を見失わないようにと、ピスティも彼女なりに必死だ。
 こんなことになるなら、初めから行かせればよかったとピスティは頭を抱えて悩み込む。

「お、お前!何する 離せ!」
「ここで離したら、お嬢さんが落下するぞ。」
「ふざけるな!僕、ヤンバラの一族だ、飛ぶくらいできる!」
「“ヤンバラ”……!?」
「……魔力が少なくて、僕は追い出された。でも……そんな僕でも、少し戦うくらい…!」

 彼のスピードが落ちた今しか追い付けないと判断したピスティは、鳥に優しく呼び掛け 徐々にスピードを上げ、やがて彼らに追い付いた。

「メルレムたん、私の後ろに乗ったらどうかな?」
「!でも僕は……」
「…………嫌、かな……?
私、女の子に嫌われやすいんだよね…。ごめんね、メルレムたん。」
「ち、違う……、僕は……」

 横からシンドバッドが口を挟む。

「乗せてもらった方がいい。もし戦う気なら、余計な魔力を消費しない方がいいからな。」

第四十三夜 連罪。→←第四十一夜 記憶。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
205人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

阿呆代表の神(プロフ) - シンドバッドの冒険は漫画のタイトルです。「シンドバッドの冒険書」だと思います。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - これはどちらでもいいと思いますが、態々女子(おなご)と言わなくても、乙女などと言えばいいと思います。いちいちすいません。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作は気のようなもの、空を飛ぶのは…私はよく分からないですが、風魔法辺りかなと思います。詳しく知りたいなら調べましょう。魔導師ならまだしも、魔力操作を使える人でも、魔導師じゃなければ空は飛べませんので、魔導師以外の人が空を飛ぶのは可笑しいです。 (2020年9月7日 15時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作では空を飛べませんよ。飛ぶのは魔法です。 (2020年9月6日 22時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - 質問です。このお話は原作何年前のお話なんでしょう?シンドバッドが19だから10年前ですか? (2016年3月13日 4時) (レス) id: 456fd0dd8b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:乙姫 x他1人 | 作者ホームページ:三つもあります←  
作成日時:2014年10月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。