【マギ】第一級特異点。二籠[シンドバッド]

第三十三夜　眷属。 ページ2

「王サマーっ！
恋人できたって、本当ですか！？」

　背後から走ってくる青年に、彼女はピクリと反応した。
　黒い肌に白い髪が特徴的で、翡翠の瞳をしている。
　少し人見知りしてしまった彼女は、シンドバッドの服の裾を小さく きゅ、と握って少しだけ彼の後ろに隠れた。

「ああ、シャルルカンか！」

「ご無事のご帰還なによりです…！
それより、その後ろの女性(ひと)が……」

「ぁっ………ｯｯ…」

「そんなに怖がるなよA〜。
そうだ、この人が俺の恋人、と言うのかな。」

　へえ、と感心した様子で彼女の顔を見ようと近寄ると、彼女が更に彼の背中に顔を埋めるものだから、彼は少し眉を下げる。

「ほら、挨拶してやれA。」

　そう彼が言うと、ゆっくり顔を離してシャルルカンの方へ向き直り 小さく会釈をした。

「ぁ…あの…………A………………です｡
ょ、よろしく……お願い、します……っ……」

　彼女は昔から男性が苦手である。
　家族を殺したのが国王だったというのもあるのだろう。

「王サマ………」

「ん?」

「すっげー綺麗な女性じゃないスか！！

よろしく！俺はシャルルカン！」

「ひっ………

あ、よろしく…………です……」

　シャルルカンから差し伸べられた手を遠慮がちに軽く握ると、シャルルカンが微笑んで握り返した。

「そう怖がるなよ、俺はイイ奴だぜ！」

「自分で言うか、シャルルカン。」

「いやあ、王サマには負けますよ！」

「ははっ」

　それをぼーっと眺めていると、後ろから肩を叩かれてゆっくりと振り替える。

「Aさん…って言うんスかね?
シンさんと仲良くしてくださいね…。」

　赤髪の背が高い……少年と言う方が似合うのか、青年の方が正しいのか。
　

「ｯｯ……………はい。」

「俺は……マスルール…っス。」

「よ、よろしく……お願い……します…」

「そんなに緊張しなくてイイっスよ。
他の八人将の人達は忙しいので…多分来週辺りには会えると思います。
ジャーファルさんは…多分スけど政務室にいるっス。」

　ジャーファル、という男には面識があるため少し顔を思い出せた。

「おーい、A〜！」

「シン…」

「こっちで一緒に飲まないか?」

「いや……私は酒癖がどうも悪くてな…」

「そうか……Aはこの後どうする?」

「あー……」

悩んでいると、後ろから先程の女性……ピスティが「私と遊んどく〜！」と彼女の腕を引いて走り出した。

「えっ!?あ……」

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