カーテンコールは拍手が鳴るまで終わらない【おそ松さん】 (ページ7)

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4:何も知らない音楽は可憐に舞うページ7

「…すまないな、彼は樗露(ちょろ)と言う。やはり警戒がまだ解けていないらしい」
青が苦笑しながら入ってきた。でも、警戒を解かない方が良いだろうと、私も思う。
「最後に俺だ。俺は架羅(から)！我ら堕天使の悪き力を…」
『よく、分からないんですが…』
「みんなで頑張ってます」
彼は先程から優しいが、彼らの中で最も強いと言われている、ボスだ。かつて、1人で大規模なマフィアを潰したことがあると聴いた。
『架羅さんですね』
ボスと呼ぶか迷ったが、ここは名前で呼ぶべきだろう。
「次は君の番だよ？」
百さんが私の肩を叩いた。続いて栄が跳ねて、横に飛んでくる。
「名前とー！何かヒトコト！」
市は離れたところで、少し不安そうに此方を見ていた。
『…私はA。分かってると思うけど、マフィア。いずれ私は逃げ出すと思うけれど、それまではよろしく』
全員の身体が動揺するように、僅かに揺れた。すると、架羅さんが真面目な表情でゆっくりと歩み、私に近づいた。
「君を呼び出した…いや、このような形で持ってきた理由というのは、俺達のボスが会いたがっている女性と君が同一人物だと考えられたからだ」
…ボス？
ボスは架羅さんなはずだ。なのに、彼がボスと呼んだのは、明らかに別の人物だ。
「ボスの命令だ。彼が満足するまで、君はここから離れることを許されない」
『ま、待って下さい。ボスって架羅さんじゃ…』
あまりに予想外な話が進むので、1度止めて自らを落ち着かせることにした。
「あぁ、世間からはそう思われている(・・・・・・・・・・・・・)だろうな…ボスは俺じゃないんだ」
苦笑を交えながらも、何かを隠しながら話す表情が私は気に入らなかったが、理解はほとんどしたのでそれ以上言おうと思うことは無かった。
「…Aだよね？…よろしく」
市が呟き、話題の切れ目が出来た。彼が誰にもバレないようにそっと置いた紙の切れ端を、私は見過ごさなかった。

彼らが部屋を出てから、私は直ぐに市の置いた切れ端を確認した。切れ目は荒く、字からは焦りを感じた。内容は私に向けての物だ。
「Aは多分感づいてると思うけど、俺らには世間に知らせていない秘密がある。それを知りたかったら、次の満月の日に地下室に行くといい。
このことは、俺と栄以外は知らないから」
『…秘密？』
気になることは沢山ある。それに、最終的に私はここから出なければならない。ボスも引っかかる。
窓を開けると風と共に、満月が私を嘲笑った。