カーテンコールは拍手が鳴るまで終わらない【おそ松さん】 (ページ14)

今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:2,312 hit

8:突如舞台に飛び出したのは、朽ちかけた人形だページ14

Asaid

凍りつく空気。始まったのは、噂でも聞く"松野会議"。兄弟たちの重要な会議で、内容を知るものは居ない。否、知ってしまえば殺されるまでだが。
「まず、やはり先程の地下牢の話がいいか」
私は尋ねられたように何気に頷いた。緊張を感じ、冷や汗が出てくる。拳を握る手に力が入る。
「地下牢には我らのボス…兄貴が居る」
地下牢に…しかも、もう1人の兄!?ということは…
『6人…』
「あぁ。俺らは6つ子だ」
周りは、ニタリと笑う同じ顔。右も左も前も…そして、下も…？
「嗚呼、後で挨拶にでも行くか？」
架羅さんが冗談混じりの笑みを浮かべるが、私の動揺は無くなる訳で無い。実際、架羅さん以外クスリとも笑っていない。
「で？各々の話はしないの？」
苛立っているのか急いでいるのか、百さんは肘をついたまま目だけで架羅さんの方を見た。架羅さんは参ったように眉を落して、また私の方に改めて向いた。
「そうしようか。じゃあ…まず気になるのは？」
そう聴かれると、やはり第1としては栄だ。人形っていうのもまだよく分かっていないし、早めに聴いた方が良いのではと考えたのだ。
『栄…ですかね？』
「だろうな。そろそろ帰ってくるだろう」
架羅さんはまた愛想よく笑い、先程から足音が鳴る扉を向いた。廊下に響く足音はどんどんと大きくなり、通り過ぎたと思ったら、また帰ってきた。
「ゴメンネ！通り過ぎちゃったヨ！待ったカナ？」
大きく開いた…というよりは、脚で蹴飛ばして折れた扉が、架羅さんの顔面へ飛んだ。激しい出血と低い悲鳴を無視し、私は栄の腕に居る女性に目を向けた。
美しい顔立ちで茶髪の三つ編みをした、赤いロングスカートと白いシャツのその女性は、栄の腕に抱かれたまま眠っているようだ。
「何処まで言ったノ？」
女性を腕に置いたまま、栄は黄のソファーに勢い良く座った。栄の髪と彼女の胸が大きく揺れる。
「兄さんのお話だよ♡」
先程まで随分機嫌の悪かった百さんが、分かりやすい笑顔で説明した。隣の市は、栄に何か書かれた紙を渡す。
「これ、読みな」
「ワカッタ！」
ケラケラと笑いながらまた勢い良く立ち上がり、女性を斜め後ろに置かれた橙のソファーに優しく置いて、私に身体を向けた。
「エット、スマリワオデレコ！」
『…？』
いきなり栄は、迷い無く奇妙な言葉を発した。紙に書いているようだが、呪文か何かか？
「紙、逆さ」
「ア、本当ダ！」
最後まで読み切れるのか。市から伝わる不安なオーラの意味が分かった。