6.感謝 ページ7
「うう…ん…」
その部屋特有の、雰囲気と香り。それで目が覚める。
見えたのは天井と、心配そうに顔を覗きこむ少年。
「起きましたか…？」
「…保健室…」
「さっきはすみません。本、手が滑って落としちゃって」
その少年は、頭を下げて謝罪をする。
あれれ、少年じゃなかった。制服のスカートを履いてる。
さっき私の事、お姫様抱っこしてくれたから。てっきり男の子かと思ってときめいちゃった。
改めてその人の顔を見る。
艶のある青い髪に、凛としたつり気味の金色の目。目は髪で片方が見えないものの、相当な美形である事が分かる。
「…こちらこそ、ここまで運んできてくれて…ありがとう。ええと…」
「1年の黒柳京華です」
「黒柳…さん…。私は一ノ瀬…」
「いた！もう探したんだからね！！！」
名前を言おうとしたら、突然保健室のドアが開け放たれた。
声の主は、成宮くん。部活中らしく、練習着を着ていた。
その瞬間、彼女の表情は一変。
「ちょっ…何なんですか！怪我した人が居るってのに！」
「だって京華ちゃんが居なかったから…！」
「何処まで我儘なんですかっ！」
「ちょっと…黒柳さん…」
「…！ごめんなさい」
黒柳さんを慌てて止めると、我に返った彼女は申し訳ないといった表情をした。
「あっ！結構前くらいの…」
成宮くんが、私を指差す。
「…？」
「覚えてない？ほら、ええと…眼鏡ケース」
「…あっ」
ちょっと考えたら思い出した。
そうだ。あの時成宮くんが、落とした眼鏡ケースを拾ってくれたんだった。
親切にしてくれたのに、お礼が言えないまま今日までそのまんまにしていたんだ。
「…あっ、そろそろ戻んなきゃ雅さんに怒られる。じゃあそろそろ…」
成宮くんは保健室を出ようとする。
待って。まだ何も言ってない。
「ま…待って」
「？」
「あの…あの時は眼鏡ケース、拾ってくれて……ありがとう」
成宮くんは、あの時のように微笑んだ。
あの時に負けないくらい、綺麗な笑顔だった。
「京華ちゃん、いくよ！」
「ちょっと…彼女の事、送るんですから…！」
「お、お家まで…？」
「そ、そうですよ！そのまま1人で帰っちゃうの、心配だから…」
京華ちゃんはちょっと顔を赤くしてそう言った。この子、ツンデレ？
成宮くんは再び保健室を出ようとする。
「そうだ。…一ノ瀬さんだっけ？また明日ね！」
成宮くんは手を振った。
「ま、またね…」
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希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます、全く更新出来てなくてごめんなさい|ω･`) (2015年7月1日 16時) (
レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - 頑張ってください (2015年7月1日 6時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - コジパンさん» ありがとうございます！ちゃんと鳴ちゃんおちなので大丈夫ですよ！物語の展開はここからです(´∀｀*) (2015年5月3日 18時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
コジパン - え・・・鳴違う子の方にいっちゃうの↓ すいません鳴大好きなものでして、いつも楽しみにしています！ 続き楽しみです。頑張ってください！ (2015年5月3日 18時) (レス) id: abdad3be03 (このIDを非表示/違反報告)
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