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6.おにいちゃん ページ7

悲しい記憶の後に目を覚ますと、天井が見えた。

記憶を辿ってみる。


…そっか。あの時私、倒れたのか。





「やっと起きたか」


「…おにいち…っ!」


「?」


「いっいえ!何でもないです!」




口が滑った。先輩を兄と間違えてしまうなんて、私は何て失礼なんだ。




「寝不足?」


「あ、はい…まぁ…」





原因は言いたくないけども…と心の中で付け足した。重い上体を起こすと、何かが肩に掛かった。


「パーカー…?」


「それ着とけ」


「あ…りがとうございます…」




目の奥がツンとして、ゆらりと瞳が揺れる。
なんで涙腺が緩むのだろう。


唾を呑み込んだのが逆効果だったのか、訳もなく涙が零れる。



泣いてる理由なんてない。
なのに、なんでこんなに寂しい気分なのか。



先輩に見られたくなくて、乱暴に腕で涙を拭い取る。


悲しい事なんて…何ひとつないのに…。



「世話のかかるやつだな」



そう言いつつも、私が泣き止むまでずっと側にいてくれた。




「おにいちゃん…」




自然と零れた言葉。


兄のような優しさ。


この人は、兄に似ている。直感的に感じた。
おにいちゃんと呼ぶことに躊躇いはなかった。






「お前、兄弟いたって言ってたよな」


「いたんですけど…私が2歳くらいの時に親が離婚して、離ればなれになりました」





今何処にいるのか、それすらも分からない。
それどころか、名前も。




「…そうか」




白河先輩は、それ以上は問い詰めなかった。
黙って頭を撫でてくれた。


大きな掌が、細長くて綺麗な指が、髪をかき混ぜる。これが心地よくて、目が眩みそうで。






「会いたい…おにいちゃん…」






またポロポロと零れ落ちる。


白河先輩に抱き寄せられて、私はいつまで
もすすり泣いていた。




外では、成宮とカルロス、日奏が室内の様子を伺っていた。



「京華ちゃん、大丈夫かな」


「白河がついてるから大丈夫だろ」


「ん〜…」


「心配だね…何かあったのかな」


「とりあえず、様子見ようぜ」




不安を募らせながら、3人で窓を覗いてみる。




「えっ」





彼等の目に映ったのは、白河の肩に顔を埋めている京華と、京華をそっと抱き寄せている白河の姿だった。





「まってこれどんな状況なの」


「さあ…?」


「あ…京華ちゃんが白河に…!」


「とりあえず鳴ちゃんは黙って」


「…ひゃい」




鳴は驚きのあまりひっくり返り、日奏は大量の鼻血を流しただとか。

7.一夜→←5.いつかの記憶


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希望(プロフ) - アメジストさん» ありがとうございます<(_ _)> (2017年1月3日 17時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - てかものすごい絵上手ですね (2017年1月3日 16時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - アメジストさん» イケメンにし過ぎました(笑) (2017年1月1日 23時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - 白河メチャイケメンで泣けるww (2017年1月1日 22時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - はい。この小説を作った後にトーカちゃんの事を知ったので、物語の中盤で髪型を変えさせて頂きました。私のミスです!今後このような事が起こらないように気をつけます(><) (2015年7月13日 21時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:希望 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年9月14日 21時

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