お日様と温もり/芥.川 ページ18
「あ、あの……芥川先輩?」
「んー……」
バスが揺れるたびに彼のふわふわなくせっ毛が項に擦れる。擽ったい。
しかも隣を見れば長い睫毛の綺麗なお顔がある訳だから、心臓が持つはずがない。
「悪ィな夏城、その……ジローが」
「宍戸先輩……そう思うなら場所変わってくれません?」
「いや、それは…………ちょっとできねえな」
通路を挟んで隣に座っていた宍戸先輩が謝ってきたけど、席の交代を要求するとバツが悪そうに目をそらされた。ひどい!
元はと言えばバスの手配ミスで席に余裕がなくなってしまったのが悪いのだけど。まさか芥川先輩と座ることになるとは思わなかったし、おまけに私の肩を借りて寝始めるとは考えられない……いや、よく考えたらその可能性も大いにあった。ただ、隣で座るという事態に慌てふためいていて、そこまで頭が回らなかったのだ。
芥川先輩がなかなか起きないことは分かりきっている。しかも練習試合のあとともなれば、疲労もあってその眠りはより強固なものとなるだろう。怖いくらいに条件が整いすぎているのだ。
「おい夏城っ!頑張れよ!」
「頑張れって……何をですか!無理です!」
そして前の席からからかうようにして向日先輩がひょっこり顔を出す。小声で応援してくるのが何とも腹立たしい。お、幼馴染包囲網……!!
「……あ、AちゃんだC〜」
「!先輩!起きたんですね!」
「うん〜…………」
うっすらと目を開いた芥川先輩。やっと離れてもらえる、と喜んで声をかけたところ、まだ微睡んだ返事。嫌な予感がした、が、行動を起こす前にまた彼の瞼が閉じていく。
「先輩!寝ないでください!」
「E匂い〜……」
「ちょ、先輩!?腕がっ……!」
そして肩に寄りかかるだけでなく、私の腕に抱きついてきたのだ。流石に焦る。より密着される身体。
「ジローのやつ大胆だな……」
「いやあれは……寝惚けてんだろ」
「先輩たち関心してないで助けてくださいよ!もう……」
もう一度ダメ押しで声をかけようと思った、が。彼の気持ちよさそうな寝顔を前にそんなこと言えくなってしまった。
「もう……いいです」
「おっ、夏城が諦めたぞ」
「…………なんか見てるこっちが恥ずかしくなってきたぜ……」
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幼馴染トリオが大好きです。
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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時