story88 ページ42
「おお〜!!」
雪平と桃井の声が重なる。
緑「ちなみに、ここを通過した者はまだ誰もいない。お前達が今のところ1位なのだよ。」
緑間の朗報に、桃井と雪平は顔を見合わせて、嬉しそうに飛び跳ねる。
『どうして女子は、嬉しいと飛び跳ねるんでしょうか?』と言う黒子の疑問は、左から右へと抜けていって、
『一応君たちは敵どうしだよ。』という、喉まで出かかった僕の言葉も、嬉しそうに微笑む雪平を見ていると、簡単に奥へ引っ込んでしまう。
僕はあの雪平の笑顔に、雪平自身に、心底弱いんだとつくづく思う。
黒子が緑間にスタンプを押してもらうのを視界の端に確認しながらも、今彼女たちに割って入ると、あの笑顔がくずれて不機嫌になってしまうんじゃないかと想像すると、なんだか少し怖い、僕はなんて臆病なんだろう……。
黒「赤司君、いいんですか?こんなところでボーっと立ってて…」
スタンプを押してもらった黒子が、僕の隣に立つ。
赤「良くはない、けれど・・・」
ポーカーフェイスの彼が、困ったような顔をしたように見て取れた。
黒「桃井さん、そろそろ行きましょう。」
桃「うんっ!紫音、絶対負けないからっ!!」
雪「優勝は私たちだからなっ!」
両手を胸の前でグーにした桃井に、ドンッと胸を叩く雪平。
赤「そのためには雪平、先を急ごうか。」
少し微笑んでみせた僕に、
雪「おうっ!」
赤「っ……」
雪平は白い歯を見せて、ニッカリ笑う。
ずるいなぁ、雪平は・・・
たった一秒足らずのことなのに、僕の意識をすべて持って行ってしまう。
動きを止めている僕に、不思議そうに首をかしげている雪平には、僕の気持ちはきっと分からないだろう。
『頑張ってね、征兄。』
秀がそう言ったような気がしたが、視線を向けた先の彼はいつものようにニコニコと笑っていて、その笑顔を見ていると何だか言って無いようにも思えてきた。
でも、きっとそれはどちらでもいいことで、たった数秒前の事が思い出せないのに、それよりも前の雪平の顔は、細部まで鮮明に覚えているということが、なんだか可笑しく思えてきた。
黒「赤司君、お先です。」
黒子がペコリと頭を下げる。
赤「っ、雪平、僕たちも行こう。」
雪「だからさっきからそう言ってんじゃんっ!!珍しくぼけぇ〜っとして…」
ぶつぶつと呟きながら駆け出した雪平に、一言小さく謝って、僕も駆け出す。
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紫癸(プロフ) - 杏(黄瀬、黛ファン)さん» はい。続編よろしくお願いします^ ^ (2015年9月26日 17時) (レス) id: 87abf74f68 (このIDを非表示/違反報告)
杏(黄瀬、黛ファン) - いえいえ、厚かましくなんかないですよ…。では、また今度にでもボードに行かせてもらいます。┌(^р^┐)┐ では、此から続編読みに行くんで…。では、 (2015年9月25日 0時) (レス) id: 430fe28908 (このIDを非表示/違反報告)
紫癸(プロフ) - 杏(黄瀬、黛ファン)さん» いえいえ^ ^毎回暖かいコメントをありがとうございます。何だったらボードに来て頂ければ、有り難く返信させていただきます。私も沢山お話してみたいです…すみません、厚かましい事を言いました…。これからもどうぞ応援よろしくお願いします^ ^ (2015年9月22日 23時) (レス) id: 87abf74f68 (このIDを非表示/違反報告)
杏(黄瀬、黛ファン) - 追加。スミマセン本当に毎回書きたいことが多くて、でも文字数に限界があり。あ、それで書きたい事は「続編おめでとう御座います」と言う事です。本当にこの小説の赤司君大好きで私の書いてる赤司君とは違い赤司君の魅力が上手く引き出されてて…あ、また文字数が。では (2015年9月22日 21時) (レス) id: 36fa984ab5 (このIDを非表示/違反報告)
杏(黄瀬、黛ファン) - ども杏で御座います。読みました!本当に大好きです!特に文の書き方が!早く私も占ツクで小説書きたい。その願いはいつ叶うのやら。あ、スミマセンお久しぶりです。えっとあの((ryスミマセン…コミュ障なもので。まぁ気をとり直して更新頑張って下さい! (2015年9月22日 21時) (レス) id: 36fa984ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫癸 | 作成日時:2014年12月5日 20時