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「あとはこの書類だけか…」


そう呟きながら、手元に残された一つの書類を手に取ろうと思った。





「やっべっ!!」


俺は隣で未だにスヤスヤと眠るAを一瞥する。

忘れてた…。

すっかり忘れてた…。


あまりにも仕事に集中しすぎたのか時間を気にしていなかったらしい…。

時間はすでに十一時を過ぎている。

すぐ傍に置いてある灰皿にはあれから長時間経っている事を物語っているように吸殻が溢れている。


でも、それ以前に一度も目を覚まさない方がどうかと思うけど…。


「A?もう起きろ。」


俺は眼鏡を取り、再びAの肩を揺する。


「ん…」


こっちの声には反応を示してるけど如何せん目を開けようとしない…。


「おい、コラ襲うぞ」

だから男の特権を使って少し脅してみた。


「ぅ…ん…」


すると、ほんの少し目を開けこちらを虚ろな瞳で見た。


しかも、毛布の中が温かかったのか少し頬が赤らんでいる。

俺はその色っぽさに不覚にもドキリとしてしまった。




おいおい…。
俺は学生相手に何してんだ…。

…と思いつつも"触れたい"という俺の男心はしっかりと反応してた。


「お前、無防備すぎるんだよ…」


そう呟きながら、片頬にそっと手のひらをのばす。


「せ…んせ…」

Aは無意識なのか、たどたどしくも俺を呼ぶ。


そして、ゆっくりと手を添える。

頬は紅潮していた割に少し冷たくて俺の手のひらの方が温かいくらいだ。


まったく…。
男の部屋で熟睡なんて襲ってください、って言ってるようなもんじゃねぇーか…。


なんて言いながらも、本能のままに触れてしまった俺。さすがに変態になるつもりはない。

そう思い、頬から手を離そうとしたら…




「ちょっ、待っ…」


Aは自分の手のひらを重ねるように置くと、ピッタリとくっついた俺の手のひらを離そうとしない。
というか、手で抑えられてるから離せない。


おまけに、その手のひらに安心したのか再び目を閉じ規則正しい寝息をたてる。



「お…おい…?」


俺は若干焦りつつもAに触れたまま固まった。





勘弁してくれよ〜。




俺はその場に項垂れた。


慌てて起こしたと思ったら、色っぽい顔見せるし、俺に触れてきたと思ったらまた熟睡だし。


むしろ、これ意識してやってんだろ!?なんてしょうもない事考えたけど目の前のコイツは明らかに熟睡してるし、コイツが意識的にこんな事するのは絶対無理だと思った。

第5章 クラスメイト→←・



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作者名: x他1人 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年9月8日 19時

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