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「Aちゃん、どんだけ
意地っ張りなんだよ…」
「別にそんなんじゃっ…!!」
未だに彼の笑いは絶えない。
「素直に迷いました〜
って言えば教えてやあげるのにな」
「・・・・・」
むっ!!!
何てムカつく奴。
昨日はちょっと良い奴って思ったけど、
全然そんな事ないし、
むしろ意地悪教師じゃんっ!!
「大体さ、
迷って困ってます〜
っていうのが顔に出すぎw」
「う嘘っ!?」
私は動揺して
自分の頬に両の手を当てる。
私のそんな行動に、より一層笑いを強める。
「さてと…
じゃあ、迷子の子猫ちゃんを
目的地まで送り届けますか。」
思いっきり笑った後
彼は私にそう呟いた。
「なっ!!迷子の子猫なんかじゃありませんっ!!」
「なに?
Aは迷子の分際で
僕に逆らうの?」
ひいいっ!!!??
何なのよ。
この俺様な態度はっ!!
しかも、迷子になった事を逆手に取られて脅されてるし!
「べ、別に教えてくれたら自分で行けます。」
こんな奴とは一緒に居られない。
「はいっ!行きま〜す」
彼は何も聞かなかったかのように、
廊下をスタスタと歩いていく。
「へ?ちょちょっと!!」
まさかの無視!?
見事なまでのスルー。
私の焦った声に
彼がゆっくりと振り返る。
そしてゆっくりと口を開く。
「猫は飼い主に
従ってればいいんだよ」
そんな見下した態度に罵ってやろうと思ったけど、
私はあまりにも妖艶で美しいその姿に
言葉なんて出なかった。
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