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第四十三章 ページ3

スタッフルームに着いた瞬間、彼は内側から鍵をかけ、カーテンを勢いよく閉めた。

そして、そのままドアに私を押し付けて、



とびきり甘いディープキス。



息ができなくて、戸惑ってしまうけれど、でもどこか満たされていく自分がいる。

舌を絡めてきたので、私もそれに応えようと絡めた。


密室に、甘美な吐息が籠る。


彼はゆっくりと唇を離した。

その顔は、さっきまでとは違う、苦しそうなもので。

ドアを拳を打ち付けると、私の肩に顔を埋めた。



『いっくん。』

一「……ごめん、カッとなった。」

『うぅん、初日だし仕方ない。

芝くんにも伝えておくから。

あぁ、担当変えようか?

私するよ?』


ぽん、と背中に手を置いてやると、彼は小さな声でこう言った。


一「……それはいい。」

『ん?』

一「……ここで俺が担当を変えてもらったら、それは俺の負けになる。」


小さくても、力強い言葉。

恋をし始めたときのように。


一「……少し、ほんの少し、あいつのことが怖かったんだ。

俺なんかよりしっかりしてそうで、明るくて。

…でも。

……あいつになんかAの笑顔を見せたくないって。

Aは俺のものなのに、って……。


……ヒヒッ、嫌いになるなら、今のうちだよ。」


『嘘。』


一「……は?」

私はそっと彼を抱きしめる。


『嫌いになるなら、今のうちだよ、なんて。

嫌いになんかなって欲しくない癖に。』

一「……でも、それは」

『私は、いっくんに恋したの。

芝くんにじゃないの。

こんなにどうしようもなく好きなのに、どうして嫌いにならなきゃいけないの?』

一「……っ。」

『ね。』と私は彼の背中を叩いてあげると


一「……バーカ。

俺だって嫌いになって欲しくて言ったことじゃねぇんだよ……。」


素直じゃないんだから、と私はくすりと笑った。

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全松girl(プロフ) - 黒兎さん» いえいえ^^これからも、頑張ってください! (2017年3月26日 18時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 全松girlさん» 置いた後です!ありがとうございます〜 (2017年3月26日 14時) (レス) id: ae3fbfbaa1 (このIDを非表示/違反報告)
全松girl(プロフ) - 第七十二章の、「携帯を老いた」ではなく、「携帯を置いた」じゃないでしょうか?失礼でしたら、ごめんなさい。 (2017年3月26日 13時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさいさん» そうか……、糖度甘めにした覚えはないんだが…… (2017年2月27日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさい(プロフ) - 黒兎さん» …てか、番外編あんまぁい!!!!((鼻血 (2017年2月15日 15時) (レス) id: c3e219345d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年1月15日 18時

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