赤砂のサソリは色が見えない。 (ページ9)

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漆色目ページ9

「おい、何死のうとしてんだ……っ！！」

「へ、へへ…………っ
ちょっと、ヘマしちゃって、ね」

腹から血が溢れて止まらない。
止血しても無理だとわかっているけど治療の手は止めたくなかった。
辛いくせにへらへら笑うコイツがなにより嫌だった。何もしてやれねぇ自分も反吐が出るほど、殺したいくらい嫌いだ。

「わた、わたし、ね。」
「もういい喋るな、今すぐ里に帰ってババアに治療させ、」

いいの。
力なく笑うAが今にも事切れそうで堪えていた涙が溢れ出した。
なにが、いい、だよ。
俺は良くねぇんだよ、だからまだ、頼むから、まだ

「私ね、さーくんの幼馴染でよかった
傀儡できないけど、何回も教えてくれる貴方が、隣にいてくれて嬉しかったよ
……、そんな貴方が私は好き。大好きよ。」

いなくならないでくれ。
そしたら誰が俺の忘れ物に気づく。
誰が俺の飯を作る。
だれが、だれが、俺の隣にいる。
今更、やめろ

「もっと、早くいえばよかったなぁ」

「……おせぇ、んだよ。」

全部、全部。
何もかもが遅すぎたのだ、俺ら2人は。
いなくなる恐怖が俺を笑うかのように体温がどんどん下がるのが運んでる中、伝わる

「ばいばい、……サソ、リ」

服を握っていた手がだらん、と力なく落ちてぶらり宙に垂れ下がる。
そこから血がぽたぽたとたれて走り抜ける道にあとを残していく。
涙はまだ、止まってくれやしない