ホントノエストニセモノエム【黄瀬涼太】

脅し ページ9

黄瀬 「さてと・・この辺りで良いっスかね・・」





あえてなんだろう・・





人目を避けた黄瀬。





黄瀬 「はい・・出して？」





そう言って手を出した。





痴漢 「えっ・・は？」





動揺が隠せない痴漢はずっと震えている。





黄瀬 「だーかーらー、身分証・・あるっスよね？出して」





それとは対照的に・・





落ち着きはらった黄瀬は・・





じっと痴漢を見ていた。





痴漢 「そっ・・そんなもの僕は・・「何度も言わせんなよ。出せ」」





普段の黄瀬からは想像も出来ないほどの迫力。





そんな黄瀬を見た痴漢は・・





震える手で会社のパスを取りだした。





黄瀬 「へぇ・・いいとこ勤めてんじゃん。はい、これ持って」





そう言って私にパスを持たせると・・





黄瀬自身の携帯で証拠写真を撮った。





黄瀬 「これであんたの素性もやった事も全部こっちは押さえた。意味分かるっスよね？」





長い足でドンと近くを蹴った黄瀬。





痴漢 「ひっ・・」





小さく悲鳴をあげた痴漢は・・





・・漏らした





黄瀬 「もう二度とこんな事しないって・・はい、言って？」





痴漢 「もう・・君に痴漢行為はしない。約束するよ・・」





半泣きでそう言った痴漢は・・





その場に崩れ落ちた。





黄瀬 「じゃあ、帰るっスよ？」





私の手を引いた時・・





痴漢 「・・黄瀬君、普段のイメージと全然違うね。皆が知ったらどう思うだろう」





小さくそう言った。





you 「はぁ？あんた何言って「・・良いよ？言いなよ。俺がこういう奴だって」」





うすら笑いを浮かべてそう言った黄瀬。





黄瀬 「お前みたいなやつの言う事誰が信じるかよ・・(笑)
ってか・・バレた所で俺はなーんにも問題ねっスよ？隠してる訳じゃねーし」





そんな黄瀬を見た痴漢は・・





もう敵わないと思ったのか・・





うな垂れたまま顔を上げなかった。





黄瀬に手を引かれ・・





もう一度電車に乗った私達・・





電車内で黄瀬やっぱり一言もしゃべらなかった。





確か降りる駅も一緒のはず。





電車を降り駅を出て・・





どうしたらいいか分からないまま私は黄瀬の後ろを歩いていた。





you 「あの・・黄瀬もこっちなの？」





向かっている方向が私の家の方向。





黄瀬 「あー・・俺もこっちっスよ。つーか、喉乾かねっスか？」





そう言った黄瀬は自販機を指差した。

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