懺悔 ページ48
風に担がれている気持ちだったのだけは覚えている。
後は何も覚えていない。
Aが目を開けると、とても懐かしい香りがした。
凄く安心できる香り。
政宗「目ぇ覚めたか？」
眼帯をした男が覗き込むようにしてAに問いかけた。
A「(なんだろう...とても大切な人だったような気がする...)」
朦朧とした意識の中、その男はAの髪を優しく撫でた。
政宗「すまねぇな...俺が不甲斐ないばかりに...お前をこんな...」
懐かしい手が、頬に触れる。
何も覚えていないが、Aの目からは涙が一筋流れた。
A「まさむね......さま？」
脳裏に浮かんだその名を口にする。
政宗「...
遅くなって悪かったな。A」
政宗はAの方に屈み、優しくAを抱きしめた。
大好きだった体温と香りでいっぱいになる。
そして、Aは全てを思い出した。
A「ごめんなさいっ...私...」
政宗「もう何処にも行かせねぇ」
政宗の背中に手を回しても、壊死したその手のひらに彼の体温を感じることは無かった。
感覚もない。
ただ、置いているだけ。
政宗「もう少し早くお前を助けていれば...」
政宗はAの手の事を悔いているのだろう。
使い物にならなくなった両の手を。
A「うっ...ぅぅっ...」
あの日から何年経ったのだろうか...？
あの時の絶望を癒すものはもうないと思い、諦めていた。
豊臣で生きていくと覚悟した時もあった。
そして、豊臣に挑んでまで自分を探してくれた政宗に苦しく思う時もあった。
本当は、会って話し合いたかった。
誤解なら誤解だと言って、用無しなら用無しと言ってくれた方が吹っ切れていたかもしれない。
それでも真実に怖がる自分がいて...
ただそれに背き続けた。
そして結果がこれだ。
両手を失い、心身共に壊されかけた。
A「もっと早く...会いたかったです......っ」
政宗「お互い空回りだったもんな。お前にこんな思いをさせるくらいなら小田原に連れていくんじゃなかった」
政宗もAも後悔していた。
二人の懺悔を、部屋の外から小十郎は黙って聞いていた。
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三楓(プロフ) - 桜華乱さん» コメありがとうございます！なるべく毎日更新できるよう頑張ります(*´∀｀*) (2016年10月31日 20時) (
レス) id: 926113a11c (このIDを非表示/違反報告)
桜華乱(プロフ) - 三楓さん» スッゴイ面白いです！更新頑張って下さい！さて、この後どうなる事やら・・・w← (2016年10月31日 20時) (レス) id: 15b036f407 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - あいなさん» コメありがとうございます！更新頑張ります(*´∀｀*) (2016年10月31日 20時) (レス) id: 926113a11c (このIDを非表示/違反報告)
あいな - めちゃくちゃおもしろいです！！頑張ってください！ (2016年10月31日 18時) (レス) id: dff3a233b0 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 美地さん» コメありがとうございます(*´∀｀*)更新頑張ります！ (2016年10月26日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2016年9月8日 16時
