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やけに左側が重い。
目を開くと薄暗い部屋の天井が映る。重さの感じる方へ目をやると、Aが少し身体を乗せて眠っていた。未だに身体を襲う熱に、こいつを退かす気にも、自らが退けようという気にもなれない。ただただ怠く、熱い。
眼球だけを動かし、その範囲で部屋を見渡すも時計らしきものはない。締め切ったカーテン、扉の向こうで回っているであろう換気扇の音。
「ん……はな、…」
呆けた声色で、名前を呼ばれる。
「良かった生きてた!」
かと思えば、突然身体を起こし、俺の耳の横に手をつきながら声をあげた。
「…うるさい」
自分の口から出た声は、思いの外かすれており、それは眠りに落ちる前の記憶を蘇らせるには十分だった。そんな俺をよそに、あいつはそそくさと部屋を出ていく。
「これ、お湯」
ふ うふうして飲むんだよ、と本気なのか馬鹿にしているのか、そんな言葉を添えてマグカップを目の前に差し出される。受け取ろうとも思ったが、だるさが喉の渇きに勝り、Aと合った視線を外した。
そうすると、「仕方ないなぁ」とでも言いたげに鼻から空気を出し、背中に腕を回してきた。じく、と鈍い痛みが走る。そのまま身体を起こすよう促され、その力○○せて背をベッドから離した。
「ん……」
たつ湯気の割には温度の低いそれ。重い腕で口に運んだそれは、じわりと胃のあたりを熱くする。その熱のせいか、心地のいい眠気が襲う。
「もう少し寝てていいよ、まだ日も昇りきってないし」
持っていたマグカップを側のテーブルに置き、これまで見たことのない穏やか、と言うのが相応しい表情を浮かべたA。促されるままに身体を横にした俺は、再び眠りに落ちた。
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sugar(プロフ) - フラグ関係とかありましたが、がんばってください (2015年9月6日 18時) (レス) id: e1c2c48866 (このIDを非表示/違反報告)
sugar(プロフ) - 健全だなぁ。 (2015年9月5日 20時) (レス) id: 1f5a39de0d (このIDを非表示/違反報告)
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