三杯目「白旗回収の手伝い」 ページ4
座って早々、そうだと立ち上がり本棚から読みかけの本を取り、またもや座る。
A:(そういえばアイスを渡された時、)
「後:先輩、帰る前にそのアイス、今すぐ食べてみてもらえませんかっっ？すっごく美味しいんですよっっ」
(などと言われた。
今から帰ろうとしてる奴にそれを言うか…
まぁ丁重に断ったので今があるのだが。
…いや、あの顔は何か考えがあったのだろうか…)
開けたアイスをぺろり。
A:…人間てわからないな
(…いや、あの後輩が特殊なのか。)
先程数本棒アイスが入っていた箱を眺める
どう見ても市販。
A:…ん。
裏返すと「ドキドキ☆ハプニング棒♡何が起きるかはお楽しみ★」という一文。
パーティモノ。
すっ、と一舐めしたアイスを離す。
(…嘘だろ…会社の上司にそういうの渡すか普通…。)
呆れながらちらりと原材料を確認しようと箱をいろんな方向から見る。
A:あ、まって。
特別何か見つけた、というわけでは無く、
A:エアコンつけてないや、通りで暑いな。
ピッと電源をつける
A:いや、これは長袖を着ている私が悪いな…
まぁぺなぺな服だけども…と呟いていると何か違和感。
いや、嫌な予感。
A:…
ちらりと穴を見る。少し風が起こる。
A:(…こんな夜にお客様かな)
シャリっと少し溶けかけたアイスを一口軽くかじる。
牛乳というのか、なんかそんな感じの味。
横目で穴をじっと眺めていると穴から気配がどんどん近づいて来た。
A:(……来る)
気配がギリまで近づいてきた、と思えば突然光り、何かが穴から出てきた、
いや、投げ出されたという表現が正しいだろう。
A:…
目線を本に移し読みかけのページを読むフリをする。
(相手が自我がある奴だとしたら私が相手に気づいているという事を知られては戦闘になりかねない。
明らかに飛ばされ方からして無理矢理。そして飛ばされ先に人。警戒するだろうよ。)
？:う…。
(どちらにせよ家で暴れられたら困る。
こちらから干渉しなければそんなに相手の気に触れる確率は少しでも下げられるだろう。)
そしてまだ冷えきってない部屋に片手に持っていたアイスが溶け始め、今にも一雫垂れそうになっているのが目に入る。他かじった部分も溶け始め、中身が見え、練乳が表面張力でまた垂れるのを防いでいるようだ。
同時に今、こちらを見るなりお客様がすっくと立ち上がった。
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作者名：桜蘭 | 作成日時：2019年8月15日 13時
