五振 五虎退 ページ46
一の丸の大広間で、まもなく約束の時間をさそうとしている時計をみながら、僕・五虎退はゴクリと生唾を飲み下す。
外から聞こえてくる雨音がいつもは楽しいはずなのに、今は酷く耳障りだ。つい三十分前までは満開の桜が咲き誇る春の景趣だったのだが、僕が今現在いる一の丸の主であり僕等を救ってくれた姫野さんと雨宮さんの上司である南雲さんが突然「なんか桜飽きた」、と一言言って変えてしまった。
なんの報せもなく雨の景趣にかえられてしまい、各本丸にいるオカン系男士燭台切光忠は嘆いた。これでは、洗濯物が干せないではないかッ……！と。何人か直訴しにきたが
「俺がよければすべて良し！」
清々しい笑顔でこの一言。最近ハマっているらしい、過去で放送されていたアニメの迷言を言った南雲さんに、南雲さんの本丸にいる燭台切さんが
「君はいったいどこの名探偵だい？！変な迷言をまた覚えて！」
と言いながらぷりぷり怒っていた。
南雲さんの本丸の燭台切さんも加わって四方八方を燭台切さんが囲んだ状態で(僕からすれば恐怖絵図状態で)景趣を変えろコールが鳴り響いたが。
ダメージ０。
HAHAHA！と笑う南雲さんの姿をみて、燭台切さん達は無駄だと悟ると帰っていった。
「ヤベーめっちゃ髪がはねてる、ちょーウケんだけど。湿気パネー」
手鏡片手に手櫛で髪を整えながら笑っている南雲さんをみなが、何故ウケるのだろうかと疑問に思ったが、口に出さない。あの人は他の人とどこかズレているが。人を見る目はあるので、新しい主となる審神者のことは信用していいだろう。
「新しい主さんは、どんな人なんだろうね。兄弟」
反対側に座っている堀川国広が隣に座っている兄弟刀である山伏国広に爽やか笑顔で話しかけているが。だが、どうもその笑顔は欠けてしまっているように僕の瞳には映った。そこで僕はある事に気がついた。
ーーこの堀川国広は静かだ。
僕の知っている堀川国広はいつも彼、和泉守兼定の助手を名乗り横で兼さん兼さんと、慕っている彼の名前を連呼していた。和泉守兼定は鬱陶しそうにしてはいるが、満更でもない顔をしている。
僕の知っている彼ならば間違いなく和泉守兼定に話しかけていただろう。だが、彼の横には和泉守兼定はいない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 239人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
新選組(プロフ) - 繭姫さん» 指摘していただき、ありがとうございます(*^^*) (2017年1月9日 6時) (
レス) id: 56b4a7f52f (このIDを非表示/違反報告)
繭姫(プロフ) - 設定の養父の平仮名の名前のとこ、(あきひろ)だと思いますよ。横から失礼しました。 (2017年1月8日 15時) (レス) id: 2b2cd99b08 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - 鏡燐さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません。間違いを指摘していただきありがとうございます。これからも間違いや脱字等などございましたら、ご指摘お願いします (2016年7月19日 15時) (レス) id: 99972413c8 (このIDを非表示/違反報告)
鏡燐(プロフ) - あの、４ページの薬研の時間２０分ですよ３０分ですと、厚か、平野になりますよ！更新頑張って下さい (2016年7月10日 6時) (レス) id: d132965d79 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - 風月 羽鶴さん» 二日目、ですと？！ (2016年4月11日 23時) (レス) id: 56b4a7f52f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：新選組 | 作成日時：2015年9月20日 17時
