お気に入り百五十人突破記念番外編【にっかり青江はみえている】 ページ32
時折、にっかり青江はなにもない場所、誰もいないところをじっとみつめていることがある。朝と昼は普通にしているが、黄昏時になると主である薫の部屋周辺をみている。
あるとき乱藤四郎がにっかり青江のみつめている所へと目を向けるが、なにもない。 なにをみているのか、好奇心が疼いた乱藤四郎はにっかり青江に尋ねた。
「なにをみてるの？」
にっかり青江はいつもの笑顔でこう言った
「なにもみていないよ」
さ、もうすぐご飯だよ。と、乱藤四郎は背中を押されながら、首だけを動かして後ろをみたがなにもない。乱藤四郎の中で疑問と好奇心が膨れ上がる。気になってしょうがない乱藤四郎は、にっかり青江と仲が良さげな石切丸に訊いてみた。
「彼はいつもなにをみているの？」
石切丸は一度にっかり青江へと視線を向けて、乱藤四郎へと視線を戻してこう言った。
「僕等にはみえざるもの、じゃないかな」
よくわからない。そんな顔をする乱藤四郎の頭を撫でて、石切丸は笑んだ。
二日後。夜中に目が覚めた乱藤四郎は水でも飲もうかと、兄弟たちを踏まぬよう足元に気をつけながら部屋を出て、台所へと向かう。欠伸を零しながら台所へと向かう途中見慣れぬ人物、この本丸の者ではないものがたたずんでいた。暗い廊下で薄ぼんやりとした半透明の体の人物は、背の高さや体つきから男性だと判断で来た。
「だっ、誰なの」
警戒しながら尋ねると、彼は主・薫と似た笑顔を乱藤四郎に向けると、ふっ、と音もなく忽然と消えた。
しばらくは茫然としていたが、乱藤四郎は頭の隅で理解した。今のがにっかり青江がみていたもの、石切丸が言っていたみえざるものなのだと。それはつまりこの世のものではない存在。
理解してしまうと急に恐ろしくなった乱藤四郎は、踵を返して急いで部屋に戻り、薬研藤四郎の布団に潜り込んだ。
番外編ＥＮＤ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 239人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
新選組(プロフ) - 繭姫さん» 指摘していただき、ありがとうございます(*^^*) (2017年1月9日 6時) (
レス) id: 56b4a7f52f (このIDを非表示/違反報告)
繭姫(プロフ) - 設定の養父の平仮名の名前のとこ、(あきひろ)だと思いますよ。横から失礼しました。 (2017年1月8日 15時) (レス) id: 2b2cd99b08 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - 鏡燐さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません。間違いを指摘していただきありがとうございます。これからも間違いや脱字等などございましたら、ご指摘お願いします (2016年7月19日 15時) (レス) id: 99972413c8 (このIDを非表示/違反報告)
鏡燐(プロフ) - あの、４ページの薬研の時間２０分ですよ３０分ですと、厚か、平野になりますよ！更新頑張って下さい (2016年7月10日 6時) (レス) id: d132965d79 (このIDを非表示/違反報告)
新選組(プロフ) - 風月 羽鶴さん» 二日目、ですと？！ (2016年4月11日 23時) (レス) id: 56b4a7f52f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：新選組 | 作成日時：2015年9月20日 17時
