兄貴のお気に入りに恋をした【灰谷竜胆】 (ページ32)

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蘭｢そうだ、Aちゃーん、この前ダメにしたから服買おうぜ｣
くるっとこちらに向きを変えた兄貴がそう言うと

ユメ｢それ、どゆこと｣
A｢…帰りに転んだの｣

…やりづれぇ。

Aが嘘を突き通そうとするから違和感ありありな会話しかしてねぇ。これは早めに2：2に別れるべきなのか。

蘭｢りんどー｣
竜｢へーい｣

竜｢ちょっと、ユメちゃんこっち行こうや｣
ユメ｢えっ！♡は、はい！｣
チョロい、お前さっきまで兄貴狙いだったのに切り替え早！

蘭｢Aちゃん、竜胆たちとはランチのときに合流すっから、ちゃんとお詫びさせてよ。ね？｣
A｢…私の好きな服を自分で買うのでそれに付き合ってもらうていなら｣
蘭｢はぁ～、しっかりしてんね、じゃあそれでいいよ｣

とか言いつつウィンドウショッピングを楽しむAを見て
(やっぱり女子だな～)なんて呑気に見つめる。
デートってあんましたことねぇけどこういう感じなのか。ふむ。

ユメ｢竜胆さん、どこ行きます？♡｣
竜｢俺はオマケみたいなもんだから適当に時間つぶせたら何でもいい｣
ユメ｢じゃあ私も服買いに行きますー♡｣

竜｢あのさ、その語尾上げんのうぜーからやめろ｣
ユメ｢はぁい｣

ふと回りに気を向けると

〝あれ、灰谷兄弟？〟
〝離れようぜ、巻き込まれる〟
〝かっこいいー！オーラが違うわぁー♡〟

いろいろ聞こえてくるのもいつもの日常で、

〝隣の女誰〟
〝どうやって取り入ったのよ〟

こんなのもまぁ慣れてる。

ユメ｢私たちお似合いだと思うんですよね！｣
竜｢全然タイプじゃないんだけど、｣
ユメ｢じゃあどんな子が？｣
竜｢考えたことねーわ｣

途中からほぼ一方的な質問攻めに俺の低い沸点が限界に近づいてくる。

こいつの服装だって生足丸出しで品がない。
ほんと何でこいつら友達なんだよ。

｢なぁ｣
｢はいっ｣
｢なんでAと友達してんの｣
｢え？あー、同じ科で同じコースの先輩と後輩なの｣
｢今更だけど年は？｣
｢私が高3で、Aは高2｣

(俺、Aと同い年だったのか…ほう)

｢あいつ実習で看護士みてぇなことしてるんだろ？お前も？｣
｢えっうん！将来はナースになりたいの～！｣

(…日本、大丈夫かよ)

｢どう？見たい？｣
｢全く興味がねぇ｣