第二百八十一夜 ちゃんと ページ2
〜カーフィアside〜
「……━━━殺して、ユユ」
ナイフを差し出しながら、私はユユに語りかける。
暗殺に失敗したら死ぬ。
それが暗殺者の鉄則。
私たちの掟。
"死にたくない"
そんな気持ちが、私の中を駆け巡る。
「………」
ユユはナイフと私を交互に見る。
「……ユユ、やめなさい」
「………」
ジャーファルさんの阻止の言葉が聞こえる。
だけど、ユユはそれに見向きもしない。
ユユはゆっくりとナイフに手を伸ばす。
そう、それでいいの。
それで早く殺して。
「貴方、シンと約束したでしょう!?もう人は殺さないと!
貴方はまた、同じ過ちを繰り返すんですか!」
ジャーファルさんは叫ぶ。
他の八人将の皆も、小さな声で「ユユ…」っと言っている。
嫌なら、早くユユを止めれば良いのに。
シンドバッド王も、私が死ぬべき人間だと思ってるんでしょ……?
止めないってことは、そういうことだよね?
「………」
ユユさんはベッドから立ち、私の持っていたナイフの柄をギュッ…と握る。
その手は暖かくて……でも、どこか冷たい。
「ユユ!!」
「……誰も手を出さないで下さい」
静かな声でユユさんは言う。
叫んだジャーファルさんもジリ…と少し後ろに引く。
「彼女は私の元主の娘。きちんと"殺せなかった"私の責任です。…………だから」
「………!!」
━━━━━グサッと、何かがお腹に刺さる感触。
あまりの痛みに、私は地面に倒れ伏す。
「……今度こそ、ちゃんと殺しますから。
━━━━━……カオン様」
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ロータス蓮(プロフ) - 突然失礼します。作者様は私を悶えさせながら泣かせる天才か何かですか…?好きです (2021年6月30日 14時) (レス) id: f03dadf55f (このIDを非表示/違反報告)
花舞花音(プロフ) - 厨二乙さん» いえ!こちらこそいつも素敵なお話をありがとうございます! (2016年3月13日 8時) (レス) id: da6eceae08 (このIDを非表示/違反報告)
厨二乙(プロフ) - 花舞花音さん» 全然大丈夫です!素敵なイラストありがとうございます! (2016年3月13日 7時) (レス) id: a105ecbf82 (このIDを非表示/違反報告)
花舞花音(プロフ) - 厨二乙さん» 構いませんよ!描くと言ってから日数があまりにも空いてしまい本当に申し訳ありませんでした!(;>人<;) (2016年3月13日 0時) (レス) id: da6eceae08 (このIDを非表示/違反報告)
厨二乙(プロフ) - 花舞花音さん» ありがとうございます!絵を載せてもよろしいでしょうか……? (2016年3月12日 18時) (レス) id: a105ecbf82 (このIDを非表示/違反報告)
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