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倉元は毎晩私の声に調整された喘ぎ声を聞いてシュミレーションするのか、私で。
それってもうおかず私ってことじゃない?
もう倉元それアウトじゃない?
男ってそのへんどんな感覚なんだろ。
「うん、やっぱ本番で俺が完璧にリード出来るように考えておく。」
『…私のこと性的な目で見ないでね。』
「あのねぇ…うーん…。」
曖昧な顔で笑われた。
倉元からは少なからず好意を抱かれていると思う。
この関係を友達以上だと思ったことはないが、それ以上の感情が向こうから向けられているかどうかは分からない。
フォークにパスタを無限にクルクルと巻きつける。
「…大丈夫?」
目だけで倉元を見ると、うっすら開けられた細い瞳とぶつかった。
『倉元は私とそういうことできる?』
トマトを咀嚼して水で流し込んだ倉元が難しい顔をして口を開いた。
「俺は男だからね。」
そりゃそうだ。
抱けないくらい酷い容姿でもないし。
有馬さんがどっちかというと私としたいと答えたのと何ら変わりのない答えだ。
「でも湧が他の人とやってたら嫌だなとは思うかな。」
『丈さんでも?』
「なんでそこにタケさん出てくんのよ。嫌だなぁ、男として完敗じゃん。あ、でもハイセとの方が嫌かも。」
『なんで?』
「だって歳も近いし地位も一緒だし…ハイセかっこいいし。」
何を想像したのか郡さんは〜とかブツブツ言い始めた倉元を眺めながらパスタを食べきった。
夜はシャトーでご飯だ。
「あ。」
『なに。』
「いいこと思いついた。」
今から抱かれます、みたいな雰囲気で家に入っていけば目視で確認取らなくても声だけで釣れるんじゃない?
つまりヤってるみたいな動き取らなくてよくない?
『あーー…。』
ほんとだ。
倉元と目を合わせてうんうんうんと何回も頷く。
『そう、そうだよね…そうだそうだ。』
「うん、そうだよな?いやぁ、ハイセのせいでなんかすごいこと頼まれてると思い込んでたけどそんなに難しい囮捜査じゃない…よな?」
もう最近囮捜査のことしか考えられない。
倉元のことしか考えられない。
アウトなのは私じゃない?
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ゆー - 有馬さん僕じゃなくて俺って言いますよ (2016年9月14日 17時) (レス) id: 82686e1266 (このIDを非表示/違反報告)
蘭乃 湧(プロフ) - 黒猫@神櫻梶さん» いつもありがとうございます。ここに50話までしかアップ出来ないという都合上で。笑 普通にこのページのものと合わせて一つの物語です! (2016年7月13日 12時) (レス) id: c5412138af (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@神櫻梶 - 続編ですか!?楽しみにしてます! (2016年7月12日 22時) (レス) id: 568c15fe38 (このIDを非表示/違反報告)
蘭乃 湧(プロフ) - ragiさん» ありがとうございます!どうやって完結させようか迷っております… (2016年7月6日 2時) (レス) id: c5412138af (このIDを非表示/違反報告)
ragi - つづき楽しみにしてました!やっぱりいいお話ですね! (2016年7月5日 11時) (レス) id: d8f35f2d6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭乃 湧 | 作成日時:2016年5月24日 22時