行きたかった ページ16
成宮鳴side
「むぅ、行きたかったのに……」
「いつまで不貞腐れてんだ鳴」
「拗ねんなって坊や」
体育座りをして端で丸まってぶつぶつ言ってると雅さんとカルロス、白河がやって来た。ここは食堂だからきっと飯を食いに来たんだ。
「もー！！雅さんのせいで応援いけないんじゃん！練習なんて１日ぐらいサボってもいいじゃん！」
「坊や何処に行きたいんだ？」
「練習サボるなんて言葉珍しい」とカルロスが言うと雅さんは俺を指差して「彼女の体育祭に行きたいんだと」と言った。
雅さんの言葉に俺は顔を真っ赤にして「彼女じゃないし！！」と叫ぶ。するとカルロスは笑って「そーだそーだ！坊やにそんな勇気なんてねぇよなぁ！」と言う。
…それはそれでムカつく。
「せっかくさぁ、一年ぶりに会えると思ったのにさぁ、雅さんがダメって言うからさぁ」
「めんどくせぇ……」
「聞こえてるよ雅さん」
「めんどくせぇ」って言ったのバッチリ聞いたからね！！ふんとそっぽを向くと雅さんは「なら鳴の体育祭誘えばいいだろ」と言った。
「俺の…？」
「おお！それいいじゃねぇか！俺らもその市春ってやつに会えるし、ぶっちぎり一位とってる姿なんかみたら確実に惚れるぜ？」
カルロスがそう言うので俺は思わず身を乗り出して「そうかな、そうかな！？」と言う。
「カルロスが、そんなに言うなら、誘って、あげないこともないけど！」
「素直に誘いたい、って言えよ」
俺が携帯を取り出すと雅さんが「今日はもう遅いから明日にしておけ」と言ってきた。ちぇ、今すぐ言いたいのに雅さん俺の邪魔ばっかしてくる！なんか俺に恨みでもあるわけ！？
はっ、まさか！！雅さんも市春狙ってるとか…！？
「ダメダメダメっ！！雅さんにでも渡さないからね！カルロスも白河も！！」
「「「何言ってんだこいつ」」」
取り敢えず皆から冷たい目で見られた。
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