カラッポ【カラ松】

Seven episodes ページ9

「は？文化祭？」
「あぁ、もうすぐだろ？」

私の目を真っ直ぐ見つめてくるので、目をそらしてしまった

そうだ、もうすぐ文化祭…そのために生徒会は放課後も遅く残っている
今日はたまたまなかっただけで…

「……文化祭、かぁ……」
「他に行く相手でもいるのか？」
「えー、A、そんな何処の馬の骨とも知らない男と行くくらいなら俺と行こうよー」
おそ松が私と肩を組んでくるので、遠慮しときます、と丁寧に断った


「え？カラ松兄さんと回ってたら部活に費やす時間なくなるよー？」

十四松が心配そうに訊いてくるので、カラ松がだんだんシュンとしてきた
可愛い、と思ったのは私だけの秘密

「……よし、一緒に回ろ、カラ松。その代わり、ちゃんと学校にはくること」
「！大丈夫なのか？」
「そうだよ、Aには部活も生徒会もあるんだし…」
「平気だって生徒会長！私の仕事力知ってるでしょー？」

少しふざけて言うと、そうだよね、と笑った生徒会長
とっても可愛いデス

「そうか！それじゃあ明日から行くな！」
「はいはい、ちゃんと来るんだよ？来なかったらお預けね？」

そう言い残して松野家を後にする

見送りは、一松とトド松

十四松はバット練習を始め、カラ松は明日の用意、生徒会長も送ってくと言っていたが二人で十分だ



「…えーっと、A…」
「ん？」
「あのイタイ奴相手にしてて疲れない？」

私を半目で見下ろす一松に疲れないよ、と言った。すると、そ、と手短に会話が終わる

「……Aちゃん」
「はい？何でしょうか、トド松さん」

少しふざけて言うと、ニコッと笑いかけられる


「今日からよろしくね？大人になっても一緒がいいな」
あざといあざといと言われている理由はここにあるだろう

「…勿論」
「えー…じゃあ俺も…」

なにそれー、と談笑が続き、私の家の前まで来る


「今日はありがとね、嬉しかった。お兄さん、とても面白いし…」
「クズなだけだよ」
「クズなだけ…」

一緒にお兄さんをクズ呼ばわりした二人に苦笑して、それじゃあ、と家に入る

「また明日」
「ん」
「バイバーイ！」


とても楽しい一日でした、と一息ついて階段を上がる

すると…


ガシャーンッ

「ッ……」

急いで音がした台所に向かうと、お父さんが弟に向かって皿を投げていた

「お父さん…！！」
「ね、姉ちゃ…」
「ウルセェA！！口出しすんな、教育だ！！」
「こんな教育の仕方…痛っ！！いや、痛い！」

今日もまた、傷が増える


「……Aちゃん、どこかおかしいんだよねー」
「あー、わかる」

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