カラッポ【カラ松】

Twenty episodes ページ23

怖い……？なんの話だろう
気になって仕方がない

そのまま固まっていると、生徒会長がはぁ、っと大きなため息をつくのがわかった

「でもさぁ、あいつもかわいそうだよ？まぁ別に言わないけどさ」
「…あぁ、わかっている。ただの俺の気持ちの整理がつかないままにあいつには悪いことをした」


……私、の話？

「……怖い、って……」
「！……honey…そこにいるのか？」



怖いって、何？

そう言って出ていくと、あー……と頭に手を当てて何かを考え込む生徒会長と、戸惑ったようにあたふたとし始めるカラ松

…ねぇ、どういうこと？


「……何が、怖いの…？私に、好きって…言われること……？それとも……」


それとも、と続けようとするが、喉から声が出てこない


…乾いて、掠れて

「…怖いの、って……リスカ、の跡……かな……」


だよね、怖いよね、と手首の傷を隠す
もうすでにわかりにくくなっているものの、明らかに残る傷跡


私だって怖い


これを見るたび、思い出してきて、もう大丈夫なのに体が震える
…カラ松、怖いんでしょう？



「……違ッ……「ううん、カラ松。わかってる」…honey？」
「わかってる。怖いんでしょ？私だって、怖いもの。気持ち悪いよね、こんな女に好きって言われてさ…だから、私に『好き』って言ってくれないんでしょう？」


全部、知ってる


「違う！それは誤解だ！」
「A、話聞いて。ねぇ…」
「いいのよ！！」


私の久しぶりの大声に肩を震わせる二人



じっと俯くと、肩に手が伸びてくる



風がカーテンを揺らして、大粒の雫が私の髪を濡らした


「………………ごめんなさい。わがまま言って。…『好き』だなんて、言えないよね……」



あぁ、頭が痛い
雨に当たりすぎたか
…風邪？


「…それじゃあ、また明日…」
「…A、待って…熱……」
「ないわよ！放って置いて！」
「でも…顔赤…」


手を伸ばしてくる生徒会長の手をはたき返し、鞄を持って職員室を出る

カラ松を通り過ぎた時、かすかに感じた罪悪感
それさえも消え失せてほしいと願っている


「せんせーさよならー」
「えぇ、さようなら」

生徒に挨拶しつつ、上がる息を整える

…………あ、結構きつい


フラッと傾いた重心
それを支えるため、ダンッと靴箱に手をついた


「はぁっ、はぁ……はぁ、はっ……」
「……A…？」


後ろから聞こえた声は、私の知っている人の声で


「おそ松……！」

私は、その人に抱きついた


透明色の青に手を染めたまま、私は違う色を選んでいく

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