【 XXXI 】 ページ31
｢ハウルは貴方のことが好きなの！だから1人で行ったの！貴方に傷ついて欲しくないから！貴方を失いたくないから！｣
目の前にいる少女は、必死な様子で私にそう言った
｢…あぁ、私って幸せだね｣
目の前に立つ可愛らしい少女の涙を親指で拭う
それでも止まらない彼女の涙は炎の赤を反射してキラキラと光っていた
｢やっと本当のソフィーに会えた｣
｢お願い、行かないでA！｣
｢…私もハウルが大好き｣
｢だったら…！｣
ソフィーの言葉を遮るようにその身体を抱きしめた
｢でもね、ソフィーもマルクルもカルシファーも同じくらい大好きで愛してるの。だから私は行くよ、みんなを守りたいもの｣
もう護られるのは嫌なの、私だって護りたい
ズルズルとしゃがみこんでブーツを脱ぐ
｢これ履いて、貴方ならきっと履ける｣
押し付け気味にソフィーに靴を渡し、少し離れる
バサりと背から生えるのは大きな黒い翼
それと同時に耳はツンととんがり頭には大きな巻ヅノが現れた
｢血のように赤い髪、猫のように闇夜に光る目、それにこんな姿、魔女みたいでしょ？｣
｢…そんなことない、とっても素敵よ｣
ソフィーの頬を大粒の涙が伝っていた
｢泣かないでよ、ソフィーが泣いたら私も悲しい｣
彼女の前にしゃがみ手の甲に触れるキスをした
｢もっと自分に自信を持って、貴方の呪いはもう解けているんだから｣
きっとソフィーなら幸せになれる
だから笑っててよ
｢…ありがと、ソフィー｣
私のお友達になってくれて
羽を大きく動かし空を飛ぶ
今までの比にならないくらいたくさんの魔力を使ってるせいだろうか
魔力の解放感と寿命の喪失感を一気に感じた
ハウルは臆病だ、とっても
でも強がっていたって私も本当は臆病者だ
もしかしたらハウルより臆病者だったかもしれない
それでも毎日を生きていけたのはハウルのおかげ
魔女の呪いで寿命が縮んでも生きる希望があったのはハウルのおかげ
｢…ありがと｣
私は本当に幸せ者だ
手に余るほどの愛をもらって
大分高いところまで飛んだ
見えるのは燃え盛る街
視界の端に動いているのは先生の手下だろうか
それらは一直線にこっちへ飛んできた
｢…随分少ない数で来るのね｣
私を囲う手下たち
｢今まで手の内見せてなかっただけで私は魔法学校の首席だったのよ？｣
守られるのは嫌いだ
やっぱり守る方が性に合うらしい
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ベニテングダケ(プロフ) - はじめまして！「ハウルの動く城」好きなんですか？私は大好きです！なのでとてもルイさんの作品を楽しく読ませていただきました。昨日ハウルの動く城を(金)ローで見てハウル熱がふきかえされました！それでこの作品に出会ったのです。とても素敵な作品だと思います！ (2021年4月3日 3時) (
レス) id: e33603a458 (このIDを非表示/違反報告)
ハリア - とても内容も深くてハウルも好きですがこの小説のお話がとても感動して好きです。またいつか新しい作品があれば楽しみにしています。 (2021年4月3日 1時) (レス) id: ff848e5d79 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - Aの化身さん» 初めましてこんにちは！そう言っていただけて凄く嬉しいです！2年経ってもこの作品を見つけて読んでくださる方がいる事実だけでもとても幸福なのに素敵な感想までほんとにありがとうございます！ (2020年7月18日 12時) (レス) id: 7e9bb53309 (このIDを非表示/違反報告)
Aの化身(プロフ) - 2年越しから失礼します。ジブリ作品が再上映されているのを知り、2日連続で見に行った後に懐かしさを覚えて作品を拝見しました。ハウルファミリーは本当あったかくて大好きなので、読んでほっこりしました。とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月15日 3時) (レス) id: b8de8932f8 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 紅音さん» 少し凝った設定になってしまいました笑笑設定を作るのが好きなので結構盛っちゃうタイプなんです笑そんな風に言っていただけて本当にありがたい限りです！今までご愛読ありがとうございました！ (2018年8月29日 10時) (レス) id: 1b9f7d69e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルイ x他1人 | 作成日時：2018年8月16日 20時
