【 XXVIII 】 ページ28
空はすっかり暗くなっている
ハウルはまだ帰ってきていなかった
｢ソフィー、Aさんおやすみなさい｣
｢おやすみ｣
マルクルがゆっくりと階段を上っていく
ソフィーは窓の外をじっと見ていた
｢ハウルが心配？｣
｢え？！｣
外にあっけに取られてたのか声をかけるとビックリされてしまった
申し訳ない
ソフィーはあ、いや…と否定をしてたが暫くして表情を暗くした
｢ハウルが何日も帰ってこないのはいつも通りだからそんなに心配しなくても大丈夫だよ｣
そう言ってもソフィーの表情は曇ったままだった
私はハウルよりソフィーの方が心配だけど…
ベッドに座る魔女の近くに寄る
｢トイレは平気？｣
｢平気だよ｣
｢そう、おやすみなさい。ソフィー、私も寝るわね、おやすみ｣
｢あぁ、おやすみなさい｣
トントンと階段を上がって自分の部屋に入った
ベッドに座って一息つく
視線を下ろした先に見えたのは自分の足
ハウルからもらったブーツがコツリと床を鳴らす
その音は思ったより静かた部屋に響いた
｢…まるで介護みたいね｣
魔力がこもった指輪に空を飛べる靴
どうしようもなく自分が虚しくなる
私は自分じゃ何も出来ない
先生のところに行った時だってハウルが来てなかったらきっと私たちは捕まっていた
ハウルに対して何かものを言える口じゃないのは分かってる
｢…醜いなぁ｣
重力で顔にかかった髪をふわりとかきあげる
すると外でサイレンが響いていた
｢…空襲警報｣
音の大きさ的にこの街じゃないけど…いつこの街も同じようになるか分からない
きっと先生が手下を使ってこの城を探し回っている
いつこの日常が壊れるか分からない
｢…私が｣
私が自由に魔法を使えたらどんなに良かっただろうか
ベッドに体を預けるように倒れ込む
横を向いた先に見える姿見には捲れあがったシャツの裾の下に刻まれた紋様が写っていた
何度この刻印を恨んだだろうか
何度消そうとしても消えなくて諦めた
それでもハウルは諦めないで私の呪いを解く方法を今でも探してくれている
ほんとに私は、ハウルがいないと何も出来ない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 913人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ベニテングダケ(プロフ) - はじめまして！「ハウルの動く城」好きなんですか？私は大好きです！なのでとてもルイさんの作品を楽しく読ませていただきました。昨日ハウルの動く城を(金)ローで見てハウル熱がふきかえされました！それでこの作品に出会ったのです。とても素敵な作品だと思います！ (2021年4月3日 3時) (
レス) id: e33603a458 (このIDを非表示/違反報告)
ハリア - とても内容も深くてハウルも好きですがこの小説のお話がとても感動して好きです。またいつか新しい作品があれば楽しみにしています。 (2021年4月3日 1時) (レス) id: ff848e5d79 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - Aの化身さん» 初めましてこんにちは！そう言っていただけて凄く嬉しいです！2年経ってもこの作品を見つけて読んでくださる方がいる事実だけでもとても幸福なのに素敵な感想までほんとにありがとうございます！ (2020年7月18日 12時) (レス) id: 7e9bb53309 (このIDを非表示/違反報告)
Aの化身(プロフ) - 2年越しから失礼します。ジブリ作品が再上映されているのを知り、2日連続で見に行った後に懐かしさを覚えて作品を拝見しました。ハウルファミリーは本当あったかくて大好きなので、読んでほっこりしました。とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月15日 3時) (レス) id: b8de8932f8 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 紅音さん» 少し凝った設定になってしまいました笑笑設定を作るのが好きなので結構盛っちゃうタイプなんです笑そんな風に言っていただけて本当にありがたい限りです！今までご愛読ありがとうございました！ (2018年8月29日 10時) (レス) id: 1b9f7d69e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルイ x他1人 | 作成日時：2018年8月16日 20時
