星を超えた想いを32【オリオンの刻印】 (ページ37)

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本調子ページ37

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「皆さん、準備はいいですか？」

いつもの声の調子で監督はアップを終えた選手達に向かって号令をかける。緊迫とした空気が流れるのはアメリカチームがオリオンの使徒であるが故だ。

「試合中何かあってもいつでもスタンバってるからな！」

肩を揉むように両手を動かす析谷。以前彼が皆の前で見せた疲労を回復させるあの技を示しているのだろう。選手達にとっては心強い。

「よし、行くぞ！」

円堂の掛け声に合わせて仲間たちも

声を一つにしフィールドへと向かう。

「遅くなりました！」

そこへ今まで姿を見せなかった明日人が

直前になって皆の元へと現れた。

「どこ行ってたんだ明日人！」

万作が叱咤すれば明日人は羽織っていたジャージを杏奈に手渡しながら「ごめんごめん」と平謝りをしてフィールドへと走っていく。

「今日も勝つぞー！」

無邪気な子供のように声を張り上げる

テンションの高い明日人に

周りの者達は異様な眼差しで見つめていた。

アメリカ対日本の試合がいよいよ始まる。両チームがポジションにつくと、会場はますます熱気に包まれた。そして、日本側のボールから試合開始の合図であるホイッスルがけたたましく鳴り響く。

試合開始早々ボールはアフロディから

明日人へと繋がれ、序盤から日本が

一気に攻めあがる形を作っていた。

「いい調子、頑張って！」

「行け氷浦！」

湧き上がる歓声に影響されてか、Aと剛陣の声援もいつも以上に活気溢れている。

しかし、巧みなパスワークでアメリカをかわして順調な形勢を保っていた日本であったが、三方向から敵に囲まれた氷浦はボールをカットされてしまう。

彼らのプレーは強引なものの、今のところアメリカからの目立ったラフプレーは見られない。意想外でクリーンな戦いに、つくしは思わず口を開く。

「全員オリオンって言うから、どんな卑怯な手で来るかと思ったら」

「普通に強い人たちみたいですね」

拍子抜けをした表情で緊張が解れかけていたマネージャーに「それだけだったら」とベンチの端側に座っていた西蔭が口を挟む。

「野坂さんがあれほど警戒するとは思えない」

「そうだ。ヤツらはまだ牙を剥いていないだけだ」

「このまま相手が手ぐすねを引いたまま終わるなんてありえないものね。最後まで安心できない」

一之瀬達が目の前でやられていくのを

間近で見ていた豪炎寺とAは

注意深く警戒しながらアメリカを

観察することをやめなかった。