時間ハ泡ノ様ニ儚クテ ページ38
一日と云うモノは、思っていた以上にあっという間だ。水族館の目玉であるイルカショーも観る事が出来、海豚と触れ合える貴重な体験にも参加させて貰えた。
小さな子供達に混ざっての参加だったから、結構恥ずかしかったのだけど、太宰が手を挙げていなかったら参加は出来なかったから、まあ此れは此れで良しとしよう。
「いやァ、今日は楽しかったねぇ。ひさびさに童心に帰った気分だよ」
水族館から出た時には、空がすっかり夕闇色に染まっていた。橙色の空に薄っすらと、黒に近い紫の雲がグラデーションで太陽を隠す様に掛かり、もうすぐ陽が沈む事を静かに告げている。
私の前を悠然と歩く彼は、ググッと腕を空に向かって伸ばしたら「中々悪くなかっただろう?」と、私の方を向いた。
「えぇ、とても楽しめました。良い休日を過ごせたと思います」
私は素直に相手の科白に答え、「有難うございます」と、礼を言った。其の途端、太宰は丸で信じられないものを見たかの様な反応をする。カタカタと小さく震え乍近づき、私の額に彼の手が中てられれば、彼は自分の額にも手を中てて、「ぐぬぬ......」と唸る。
「......あの、一体何をしているんですか?」
「否、君が私に御礼を云うだなんて 如何も現実味がないものだから......熱でも有るのではないかと思ったのだよ」
「失礼ですね」
別に私だって、相手に感謝をする。
唯今迄彼に礼を云ったかと問われて仕舞えば、其れは何とも言えない。思わず相手と目を逸らしてしまうだろう。
「まァ、今日は君と
確かに彼は満足しただろう。或る意味子供以上に水族館を満喫していたのだ、仕事は真面目にやらない分、何故かこの様な事には積極的なのである。
「だから、コレは其の御礼。私から君への
「............え?」
渡されたのは、淡い紫色の包装紙で
一緒に土産物のコーナーに行ったが、私が買い終わり合流をした時には持っていなかった物だから、少々驚かされる。戸惑いながらも渡されたの贈呈品を受け取れば、私も一応彼用に買った品を渡す事にした。
大きめの紙袋を彼に渡す。
「......君って、冷たいと見せかけて実は結構優しいよねぇ」
中身は海豚の形をした可愛らしい縫いぐるみ。
大事に使って欲しいわね。
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ミサぽん(プロフ) - カエデさん» コメント有難うございます! いやいや、そんな......羨ましいだなんて、もっと上手くなりたいと思っている位ですよ、ですけど 有難うございます!嬉しいですっ (2019年7月7日 17時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - こんにちは。読ませて頂きました。ミサぽんさんって絵がお上手なんですね!羨ましいです! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 611e70016f (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます!成る可く早い内に、続編を作成します。いつも読んでくださり、感謝感激です! (2019年6月16日 9時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - こんにちは。引き続き続編も楽しみにしております!笑 (2019年6月16日 9時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 初めまして!いつも!? え、え、有難うございますっ 楽しく!?...嬉しくて涙が出てしまいます。これからも更新、頑張っていきますね!感想、有難うございます。 (2019年6月9日 22時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年5月27日 11時