インクと仲が良いあの子はAUの見張り人【AU】 8

397.赤いスカーフ ページ47

『なんで謝ってるの？』


白い少女は私の前で何度も謝る


謝られるようなことされてない


そもそも初対面だ


でも、私は人の涙なんて見たくない


『ねぇ、お姉さん』


あまり歳は変わらないように見えるが、大人びているのでお姉さんと、呼んでいる


『ここ寒いよね。お姉さんとか特に寒そう』


「え？」


やっと顔を上げた


『隙あり！！』


白い首が無防備に晒される


その瞬間を見計らって、いつの間にか首に巻かれていた赤いスカーフをお姉さんに巻いた


「え？...え？」


『泣いちゃダメだよ。私も悲しくなる』


そう、微笑んだ








『...私はお姉さんに何があったか分からないし初対面だよ。けど、これだけは分かる。



お姉さんには泣いて欲しくないの。笑って欲しいの。』


そう言うと、お姉さんは目を見開く


そして私を強く、強く抱き締めた


「貴方は私が守る...！！




絶対にここから出る」


何かをケツイした彼女は赤いスカーフに顔を埋め、更に私を強く抱き締めた


『ぇ、ええっと。ちょっと恥ずかしいかな...』


「あ、ごめんね。えっと、私はバグ。よろしくね」


苦しそうな顔をしてバグはそう言った



『私は...？私の名前はなんだっけ？』


「...A」


『そうそう私はA！だった気がする...ってなんで知ってるの？』



「...



なんでだろうね」


バグは微笑む


『...?』


優しい笑顔


そこに違和感を感じた


この人、こんな笑顔だっけ？


記憶にこの人は無い


けど、けど



前に見た笑顔は...こんなんじゃ


(「Aまたサボってる！」)


...誰？


彼は誰だっけ？

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