頭を抱える ページ10
「はいはいはーい! 次は僕達THRIVEだね!」
是国さんの後に続いて元気よく私の前に飛び出してきたのは、そばかすがチャームポイントの男の子である。
可愛い系の子が多いのかな。
「僕、阿修 悠太。よろしくね、Aちゃん!」
とびきりのアイドルスマイル、此れは甘いお菓子のCMが似合いそう。
「愛染健十です。いやぁ、社長の姪ッ子とは思えない程可愛いね、キミ。」
「おい、どういう意味だよ。」
スッと私の手を取り、修二伯父さんのドスの利いた問い掛けを華麗にスルーしながら阿修君を割って入ってきたのはさっきの下睫毛が長い男の子。
肌が白く、此処に居る誰よりも決め細やかで美しい美白少年だ。
洗顔とか化粧水とか、何使ってるんだろう。と思わず彼の整った顔を、じっと熱く見詰めてしまった。
「えっと、A?」
それに気付いて、愛染さんはちょっと私から距離を取る。
「ああ済みません、綺麗な肌だなって、つい。」
「ま、美容には気を遣っているからね。けど、そう言って貰えて嬉しいな。」
ウィンクを然り気無くする感じ、正しくアイドルだ。そして女慣れしている雰囲気があるからか、色気がある。
彼の色気は、敢えて女性ものの化粧品のCMに活かせそうだ。
「ヘラヘラしてんじゃねえよ、気持ち悪い。」
愛染さんに悪態をつく三白眼の男の子。
ロックや、ビジュアル系バンドとか好きそうだな。等と勝手に妄想。
「なんだと?」
愛染さんと何やら良からぬ雰囲気。
「もー、けんけんもごうちんも仲良く! ほら、ごうちんも挨拶して!」
子供っぽいと感じていた阿修さんがまさか、一番大人だとは予想外である。否、此のギャップは萌える。
「何で俺が――」
「ごうちん。」
更に反抗しようとする彼に、有無を言わせぬ圧力を掛けた。
「ちっ、金城 剛士。」
阿修君にすんなりと従うも、舌打ちと共に聞こえてくる名前。
私に素っ気ない態度を取る彼に、何故だかデジャヴを感じた。
彼は似ている、私が初対面で今日、喧嘩を売ったばかりの黒崎先輩に……
似たような人って、此の業界に何人も居るのだろうか。
そう考えると同時に、私はズキズキと痛み出した頭を抱えた。
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時