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女子力 ページ9

「まずは自己紹介からだね。」

 優しい笑みと共に、温厚そうな男の子が柔らかい口調で事を進めていく。

 マスターコースに行ったときも思ったが、誰か一人こういう物事を進行してくれる人って大切だな。

「はいはーい! 俺、MooNsのイケメン担当、王茶利 暉! よろしくね、Aちゃん。」

 私の手を握り、ブンブンと上下に振りながら元気よく挨拶してくれたのは、髪型が独特な男の子だった。

 余りにも堂々と自分をイケメン呼ばわりするから驚いた。

「うちのが五月蝿くてすみません。
 僕は釈村 帝、MooNsの一人です。」

 眼鏡を掛け、知性的な雰囲気を醸し出している紳士的且つ頭の良さそうな子で、王茶利さんとは正反対な性格であった。

「で、こっちが――」

「音済 桃太郎だ。」

 前髪で気づきにくいが、右目は赤の左目が青であるオッドアイだ。オッドアイと言われると誰かを彷彿とさせるため、これ以上考えるのはやめておこう。

「ほらモモタス、笑顔が足りてませんよ。アイドルらしくスマイルスマイル。」

 釈村さんが音済さんの頬を上へと両手で引っ張り上げるも、彼の表情は一向に変化しない。

 私も人の事は言えないが、彼はきっと表情筋が固いのであろう。無理に笑わせようとしてもきっと無駄である。

 こういう子は自然な笑顔を見せる程、売れるものだ。
 
「同じくMooNs、野目 龍広だ。」

 褐色の肌に鍛え抜かれた逞しい身体、絶対スポーツ系のCM出たら人気出る。

「そして此方がMooNsのリーダ!」

「増長 和南です。本当はリーダーじゃなかったんだけどね。」

 アハハッと困った様に笑う姿は、まるで温厚で大人しいゴールデンレトリバーであった。

「僕ら5人でMooNsです。」

「次はキタコレだね。
 俺は北門 倫毘沙、よろしくねお姫様。」

 彼は正しく王道系の王子様キャラで、周りがキラキラして見えた。

 誰かサングラスを下さい。

「ほら、竜持も。」

 北門さんに背中を押されて前に出てきたのは、女の子みたいに小柄で愛くるしい顔立ちの男の子。

「是国 竜持……」

 口の中で舐め続けて大分小さくなってしまったチョッパチャロスと言う、棒つきキャンディをパカッと取り出し、小さな声で照れ臭そうに呟いた。

 男の娘じゃないですよね? と聞きたくなるほど女子力が高い。

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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時

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