梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ46)

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●四十三匹と四十三本ページ46

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((………あれ……………………平子さんの匂い……))

次第に思考がはっきりしてくる。

目を開けると

いつの日か見た部屋。

シンプルで飾り気のない部屋。

重い体を起き上がらせると、キッチンから平子がやって来た。

平「……気分はどうだ？」

『………あれ、私……何で？』

平「…居酒屋で酔いつぶれていたから……一番家が近かった俺が連れて帰る事になったんだが……」

『………迷惑、かけちゃったみたいね…………ごめんなさい………』

羞恥のあまり手で顔を覆うと平子が少し笑ったのがわかった。

平「……気にするな。………一応水を飲んでおくといい」

『……ありがとう(^-^)』

居酒屋で会った時の平子は、いつもと少し違くて

何か思い詰めているような感じだったが、

今の平子は普段通りだった。

ふと腕時計を確認すると、既に朝の6時をまわっていた。

『……！！！！もしかして私……一日ここで寝てたの！？』

平「……ああ………まあ……」

その言葉に、今まで以上に顔に熱が集まる。

((……じゃ、じゃあ………平子さんの部屋で……平子さんと一緒に………//////！？))

その様子の意味に気が付いたのか、平子は慌てたように言う。

平「…あ、いや…！別に何もしていないからな……本当に…！」

『…だ、大丈夫……わかってる…………ただ………』

百鬼は顔を背けながら呟く。

『……寝顔を見られたのは………ちょっと恥ずかしかったかも…』

平「……！！」

二人の間に少しの沈黙が流れる。

その沈黙を破ったのは平子だった。

平「………朝食を作ったんだが…………一緒に食べないか？」

『！』

その平子の表情は、昨夜の時と同じ

辛そうで

苦しそうだった。

何が彼を苦しめているのか、

百鬼にはわからない。

ただそれでも、

きっとそれが

自分に関する事なのだろうと

それだけはわかった。

『………ええ、もちろん(^-^)』

百鬼には、ただそう言う事しか出来なかった。