梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ40)

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●三十八匹と三十八本ページ40

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平子は次の日篠原から預かった血液の分析結果と、アゲハについての資料を見る事にした。

まず、血液分析の結果を見た。

平(……AB型の女性……DNA組織が……一致した人物がいる……？)

その資料をめくるとそこには
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平「……これは……」

そこには、「死亡」と書かれた女喰種の顔写真と詳細が書かれていた。

その女喰種の名前は、石堂小陽〈ｾｷﾄﾞｳｺﾊﾙ〉。

赫子は羽赫で、目撃されたアゲハと似た蝶の羽の形をしている。

百鬼明弘元CCG解剖医を襲い、救助に向かった捜査官によって討伐。

幸い百鬼元解剖医には怪我は無く、他にも被害などは無かった。

平「………百鬼……………………偶然か？」

平子は今まで百鬼という解剖医の事は知らなかった。

石堂の顔写真を見た時、あの人と顔が重なった。

だが、何かが決定的に違った。

平(………百鬼……明弘……)

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『……ヒーナミ！』

ヒ「…あ、夜蝶さん！…どうしたの？」

『ちょっと顔を見に来ただけ(^-^)………あ、それ小夜時雨？前も読んでなかったっけ？』

ヒ「うん、また読みたくなって……」

『…そう(^-^)……ねえねえ、それってどんな話？』

ヒ「…うーんと、ね……」

あの日が嘘のように

穏やかな日常が戻って来た。

でも、

確実に傷は残っている。

『……私、読書って全然しないのよね……。内容がわかんなくて…………ヒナミは偉いね』

ヒ「…そんな事ないよ。本を読むと言葉がよくわかるようになるし………夜蝶さんって、お兄ちゃんと同じ大学に通ってたんだよね？」

『…ええ、そうよ？学部は違うけどね…』

ヒ「……じゃあ、やっぱり頭いいんだよね？……学校って、楽しい？」

『……うーん、そうね………色々な事が知れるし、世界が広くなる感じね』

ヒ「……そうなんだ…………………私も……行きたかったな……」

ヒナミのその言葉に、何も言えなかった。

ヒナミはあの事件でCCGの標的にされてしまっている。

顔も割れているため、外出するのも困難だ。

つまり、学校に行くなどもってのほか。

傷跡は消える事がない。

消すことができない。

悲しみの雨が

降り止む事は無い。