梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ37)

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●三十五匹と三十五本ページ37

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あの地下水道での出来事から約1ヶ月が経った。

その間も相変わらず日記のようなメールは続いていたのだが、平子が忙しく直接会う事は無かった。

それが突然「会えないか」と連絡がきた。そのため20区の公園で落ち合う事になった。

待ち合わせの時間より5分ほど早く行くと、丁度平子がやって来た。

平「待ったか？」

『いや、今来た所。……それで、今日は何？』

平「いや……ただ会いたかっただけだ…………駄目か？」

『！！………駄目なわけないでしょ(^-^)』

平「…そうか……」

((……全く……意識して言ってるのかそうじゃないのか……変な所で鈍感なんだから……

　……でも……そんな顔されたら、断れないじゃない……))

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以前行った喫茶店でコーヒーを飲む。

傍から見ると、やはり二人は不釣り合いにも感じられる。周りの人間は、百鬼の事をじっと見つめる。勿論ただ見ているだけなのもあるが、その中には明らかに下心を持っている者もいた。

((…………気持ち悪い………まあ、いつもの事だけど…))

平「…百鬼さん」

『え？』

平「……具合、悪いのか？」

『…大丈夫、気にしないで(^-^)』

平「……そうか…」

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日が落ちるのも遅くなり、まだ空は明るい。心地よい風で髪がなびく。

『……今日はもう帰るわ(^-^)』

平「……そうか」

そう言う平子の表情は、初めてあった時より豊かになったと思う。

『…そんなに寂しそうな顔しなくても………また会えるじゃない』

平「…別に寂しそうな顔なんてしていないと思うが……まあ、そうだな……」

『今日は楽しかった。また時間ができたら誘ってちょうだい』

平「……ああ」

『…じゃあ、また』

平「…また…」

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平子と別れた後、改めて自分が平子の存在によって変わっていることに気づかされる。

この気持ち。

何となくわかってる。

学校で読む文章によく出てきた。

それでも、完全に受け入れるにはまだ抵抗があった。

『………ﾊｧｯ……』

ト「………夜蝶……さん？」

『！！………董香ちゃん…？』

声のした方に振り向くと、そこには

驚いた表情をした董香がいた。