梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ36)

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●三十四匹と三十四本ページ36

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暫く経って雨が止んだ。

金木の後をついていくと、そこには董香とヒナミ…そして真戸の死体があった。

金「董香ちゃん……大丈夫？」

ト「…平気。……ヒナミ、行こう」

ヒ「……うん」

四方がヒナミを背負い、全員その場から離れる為歩き始めた。

ふと後ろを見ると、董香が真戸の死体を眺めていた。

まるで魂が抜けたように。

『……董香ちゃん』

ト「……何でもない」

董香は悲しそうな顔をして歩き始めた。

ヒ「………ねえ、お兄ちゃん」

金「…何？」

ヒ「……私…寂しい。お母さんも、お父さんも、いなくなっちゃった……」

金「……」

ヒ「………寂しいよ……お母さん……」

金「……リョーコさんは……あの時、ヒナミちゃんに"生きて"って言ったんだと思うよ」

ヒ「……え？」

金「…大丈夫……ヒナミちゃんには、僕らがついてる」

ヒ「……お兄ちゃん……ｯｳｩ……」

ヒナミは、あの時とは違う涙を流した。

百鬼は、ただその様子を眺めていた。

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平子はCCG支部で、いつものように仕事をこなしていた。

そんな時、

倉「タケさん、大変っすよ！」

平「なんだ？」

倉「20区担当の真戸上等捜査官が、ラビットに殺されたらしいんっす！」

平「！！……真戸上等が……！？」

倉「何でも、705番とラビットに誘い出されて戦闘になったとか……」

平「……」

倉「……しかも、一緒に行ってた亜門一等が、眼帯の喰種に遭遇したらしくて……さらにそこに、アゲハの姿もあったようなんす」

平「……アゲハが……！？」

倉「…俺、てっきりアゲハは21区を縄張りにしてると思ってたんすけど、前にも20区で目撃されてるし、実は20区の喰種なんじゃないっすかねー」

平「……」

倉元は、その後も一人話していたが、平子の反応が薄くなったことに気づいた。

倉「……？タケさーん、大丈夫っすかー？」

平「……、ああ……何でもない」

倉「……」

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平子は仕事が終わり、帰り支度を始めていた。

平子の頭の中は、アゲハの事でいっぱいだった。

平(………20区………)

ふと、頭の中に

一人の女性の顔が浮かんだ。

平(…………)

平子は小さく溜息をつくと、部屋を後にした。