梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ35)

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●三十三匹と三十三本ページ35

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亜「………っ」

眼帯の喰種の言葉に、亜門は驚きを隠せなかった。

喰種が、人殺しにしないでくれだなんて言うものだろうか。

亜(……一体……)

その時、

金「…ぐ……ぐあああぁぁぁぁぁっ！！！！！！」

亜「……！？」

突然目の前の喰種の様子が変貌した。

苦しむように叫び出したと思ったら、急に静まり返った。

亜「………？」

金「………っふふふ」

亜「……！？」

金「……美味しそうな肉」

亜「……なっ」

そう言った瞬間、眼帯の喰種が飛びかかって来た。

亜(……避けられない……！)

攻撃を喰らうのを覚悟で目を瞑る。

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だが、いつになっても痛みは襲ってこない。

亜「……？」

目を開けると、目の前には眼帯の喰種の赫子を素手で止めている一人の姿があった。

その人物は、顔にまるで蝶のようなマスクを着けていた。

その姿に、亜門は思い当たる者がいた。

亜「……アゲハ！？」

『……』

その喰種は眼帯の赫子を素手で押し返し、殴り飛ばす。

『早く行け！！喰種捜査官！！』

亜「…っ」

『さっさとしろよこのノロマ！！！』

亜「……っくそ」

亜門はようやくその場から離れ、姿が見えなくなるところまで行ったようだ。

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『…………はぁっ、全く……』

金「………夜蝶？」

『……早く、その子の体から消えなさい、リゼ』

金「……ふふふっ………貴女も…美味しそう……」

そして金木は赫子を向けて飛びかかって来た。

それを赫子を出して防ぐ。

蝶の羽の形をした赫子に金木の赫子が当たった瞬間、

金「……！？」

赫子が爆発し、金木の赫子が飛び散る。

『……もう、やめなさい』

その時

物陰から、誰かが出てきた。

『…！？』

金「……誰？………私、今ものすごーくお腹が空いてるの………ね？」

金木は赫子でその人物を突き刺した。

『……！』

「……芳村さんが気に掛ける理由が、わかった気がする」

そしてその人物はマスクを外した。

「………帰ってこい、研」

金「……四方……さ、ん？……僕…何てことを…」

四「…これを食べろ。楽になる」

金木を声を上げながら泣き出した。

『……蓮示…』

四「…夜蝶……」

『……』

雨の降り止まない空を見上げる。

((……董香ちゃん…ヒナミ…‥‥))