梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ27)

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●二十五匹と二十五本ページ27

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その日は突然だった。

古間に頼まれ、近くのスーパーで食材を買ってきた帰り。

両手いっぱいに荷物を持って帰路を歩いていた。

((……おっも……))

よいしょよいしょと荷物を運んでいると、見たことのある顔を見つけ、血の気が引く。

((……あれは……))

と思ったが、よく似た別人だった。

『……ﾊｱ』
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CCG21区支部では、以前現れた"アゲハ"という喰種の話で持ち切りだった。

その容姿はあまりにも美しく不気味、SSレートのスパイダーを破った強さを持つ女喰種。

そこから、SSレートをつけられた。
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平「……」

平子は20区に来ていた。

平(……来たのはいいが、どこに住んでいたのか聞いてなかったな)

平子は小さく溜息をつくと、以前会った公園に向かった。
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その途中で、

あの人が歩いているのを見つけた。

青緑の髪。琥珀色の目。美しい顔立ち。すらっとした立ち姿。

平「……百鬼…さん」

『……！！』

相手はかなり驚いたように目を見開いて、顔色を変える。

傍に行こうとすると、百鬼は来た道を引き返し始めた。

もし、ここで引き止めなかったら、

今度こそあの人に会えなくなるのではないか。

ふと

頭によぎった。

倉〈……言わなきゃ、どこかに行っちゃいますよ？〉

平「……！」

平子は、去ろうとする百鬼の手首を掴んで引き止めた。

『…！！』

平「待ってくれ」

『……何』

平「……荷物、貸してくれ。俺が運ぶ」

『いいわよ…別に…』

平「運ばせてくれ」

『……』

((………どうしよう…))

このままだと、皆のいる喫茶店にこの人を連れて行ってしまう。

それだけはまずい。

『……本当に大丈夫だから』

平「……そう、か…」

その時、平子が寂しそうな表情をしたのを見て、

思わず

『……少しここで待ってて』

平「……え？」

『家に上がってって。折角来てくれたんだし。仕事は大丈夫？』

平「…ああ、仕事は部下に任せてきた。心配はない」

『あらあら、部下さん大変(￣▽￣)』

平「たまにはあれくらいやった方がいい」

『そうなの？……まあ、とにかくここで待ってて』

そう言って、荷物を置きに行くために歩き始める。

((………やってしまった………))