梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ24)

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●二十二匹と二十二本ページ24

瞬間的に攻撃を避け、赫子を出す。

蜘蛛男は、その赫子を見て息を飲んだ。

「君のその赫子………まるで蝶の羽だ…見惚れちゃうよ…」

『黙れ……お前を…殺してやるっ！！！』

怒りを露わにし、全力で殴り掛かる。

「おっと」

だが蜘蛛男もなかなか手練れの様で、攻撃を軽く避けていく。

「君、意外と強いんだねー。尚更美味しそう…」

『……ぶっ殺す…』

余裕そうにしている男に向かって殺気を放ち、攻撃態勢をとる。

「でも………ちょっと隙が多いかなー」

次の瞬間、目の前にいたはずの男が自分の視界から消える。

そして、息をつく間もなく体が吹き飛ぶ。

『…ぐうっ……！！』

勢いよく吹き飛ばされたためそのまま窓ガラスを突き破って外に出てしまう。

((…まずい…))

地面の叩きつけられる前に体勢を戻し、急いで懐から仮面を取り出す。

突然ガラスが割れたことに通行人は驚いている様子だった。

店の中から男が飛び出してきて、人がいるにもかかわらず赫子で攻撃して来た。

男の赫子は、まるで蜘蛛の足の様で、８本の鱗赫だった。

「…その仮面…本当に蝶みたいだね…君…」

『…』

「俺は蜘蛛だからね……一度絡めた獲物は逃がさない…」

『…』

「俺は君を食べたい…」

『…』

「だから……死ねよっ！！！！！」

男は叫びながら赫子で攻撃をしてくる。

だがこちらはというと、冷静さを取り戻していた。

先ほどまでは驚きで感情的になっていたが、死は何度も経験して来た。次第に本来の自分に戻って来る。

((……ここは目立ちすぎる。だからといってこいつは移動する気も無い…なら…ここで…一発で仕留める…))

男の攻撃を避け、羽赫特有のスピードで一気に間合いを詰める。男が反応するよりも先に、

一撃を喰らわす。

ｸﾞﾁｬｯ

「ｳｸﾞｱｱｱｱｱｯ！！！」

男の肉を抉り、痛みに悲鳴を上げる男に、今度は赫子でとどめをさす。

結晶化した赫子は、男の体に触れた瞬間次々と爆発を起こす。

あっという間に男の体は血だらけになった。

「ｷﾞ……ｱ…ｯ」

『……舐められたもんね……。私はね、花の蜜を吸う可愛らしい蝶じゃないの。肉と血を貪る蝶よ』

体中が穴だらけになった男は、叫ぶこともせずただ目を見開いていた。

「いたぞ！喰種だ！」

『！！』

声のした方を向くと、喰種捜査官らしき人間が複数こちらに向かってきていた。

そして

その中には彼の姿もあった。