梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ16)

今日:33 hit、昨日:2 hit、合計:62,969 hit

●十四匹と十四本ページ16

・
・
・
百鬼が店を出てからすぐ、倉元が軽く溜息をついた。

倉「…ﾊｱｯタケさん、そんな怖い顔しないでくださいよ(^^;)」

平「…そうか？」

倉「ええもうそりゃ喰種でも殺すんじゃないかってくらいの顔つきでしたよ、タケさんもそんな顔するんすねー」

平「……」

黙り込んだ平子を見て、倉元は再び溜息をついた。

倉(この人…ほんと気づいてないのかなー)

倉「……タケさん、一ついいですか？」

平「なんだ？」

倉「……タケさんは夜蝶さんのこと、どう思ってるんすか？」

平「！……いや…」

倉「…好きなんでしょ」

平「なっ…」

倉「やっぱりー(￣▽￣)絶対そうだと思いましたよー」

倉元に指摘され平子は動揺を隠せなかった。確かに、平子は彼女に会った時一目惚れに近い感情を抱いた。だが、それを誰かに言ったことなどなかった。倉元は勘の鋭いやつだとは思っていたが、こう言い当てられると、彼女に対して抱いているもう一つの思いにも気づかれてしまうのではと少し恐れを感じる。

平「…お前には関係ないだろ…」

倉「そうですけど……」

と言うと、倉元は何か思いついたようにさらににっこりと笑った。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
倉「そーだ！…タケさん、思い切って告っちゃえばいいんじゃ―――」

平「ふざけるな」

倉「即答………でも、ここで攻めなきゃ男じゃないっすよ」

平「……」

倉「取り合えず、メアドとか入手すれば―――」

平「倉元」

急に声が低くなった平子に倉元は驚き、細い目を見開く。

平「……いい加減にしろ。もう行くぞ」

倉「………うっす…」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
平子はさっき倉元に言われたことを思い出していた。

倉〈ここで攻めなきゃ男じゃないっすよ〉

平(………俺は、たまに会えたらそれでいいんだが…)

平子にとって、百鬼が近すぎず、遠すぎないくらいの関係でいられたらそれで良かった。

平(………あの人が…もし…＿＿なら…)

近い関係になればそれだけ辛くなる。

平(……百鬼さん………貴女は一体…)
・
・
・
・
・
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

倉元が恋の悩みにお答えします。

なんだか平子さんはいろいろお悩み中のようです。