梅がこぼれ、椿が落ち、牡丹は崩れ、雪柳は吹雪き、菊が舞い、命が散る。 (ページ12)

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●十匹と十本ページ12

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((……あーあ……何やってんだろう…私……))

喫茶店でコーヒーを飲み、小さく溜息を吐く。

『…平子さん、昨日の事もあったし、私が払いますね』

平「いえ、そんな…」

『いいんです(^-^)せめてものお礼ですから』

平「……では…お言葉に甘えて…」
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その時、隣の席に座っていた女性の持っていたカップが地面に落ち、大きな音を立てて割れた。

『！』

平「…大丈夫ですか？」

「だ、大丈夫です…！すみません」

そう言って女性はカップの欠片を拾おうとしたが、平子がそれを止めた。

平「危ないですよ」

「…あ…」

平子は大きな欠片を同じ場所に集めていく。

((あんたも危ないって…))

そう思っていると、案の定平子は指の先を欠片で切った。

『あ……はあっ』

取りあえずテーブルに置いてあったナプキンで平子の指を覆う。

平「！」

『気を付けてください…』

平「すみません…」

「…」
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平「さっきはありがとうございました」

『全く…触っちゃだめですよ…』

平「はい…」

ちらっと平子の顔を見ると、明らかにしょぼんとした顔をしていた。

((…！！あの無表情が…))

『( ゜゜)』

平「……あの」

『い、いえ！』

平「……駅まで送りますよ」

『(…まあ、これくらいならいいかな)…じゃあ、お願いします』
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暫く歩いて薄暗い路地に入ると、ふとどこかで嗅いだ匂いがした。

『……』

平「…」
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次の瞬間
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ﾋﾞｭﾝｯ

『…！』

突然尾赫の赫子が襲い掛かってきたため、咄嗟に避ける。

そこに現れたのは、さきほど喫茶店でカップを落とした女性だった。目が赤くなり、不敵な笑みを浮かべている。

いつもの癖で赫子を出そうとしたが

((…あっ…))

今赫子を出せば、平子に完璧にばれる。

((…どうしよう…))

打開策を一生懸命考えていると
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平「……下がっていてください」

『！平子さん…』

そうだった、彼は喫茶店にアタッシュケースを持ってきていた。喰種捜査官ならば、戦うのは当然。

((…………でも………大丈夫？この喰種、意外と強いわよ…？))

不安の眼差しで見つめていると、女が赫子を平子に向かって突き出した。

『……！！！』