ご ページ8
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「…で?テメェらどこ行こうとしてた」
「ヨコハマで暴れてるやつを締めに。ついでに私の睡眠時間妨害した腹いせに」
「お前らふたりが行ったら大ごとになるだろ。頼むから俺の面倒ごとを増やすんじゃねえ」
はあ、とため息を吐く銃兎。
なら見て見ぬ振りしてればいいのに。そうしない銃兎は私たちには甘い、はず。なんだかんだ言ってね。面倒見が良いから。
「良いこと教えてやる。銃兎」
「あ?」
「そいつら、違法マイクを持ってるつー話だ。点数稼ぎにいっちょどうだ?警官さんよ、」
「……ノった」
人のことを言えたわけじゃないけど、こうも血の気が多いこのふたりを見てると、理鶯は優しくて紳士的だと改めて思う。それに癒される。
………って、だからなんで私は理鶯のこと考えてんの。
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結局、わたしがわざわざ出向いた意味は無くなった。左馬刻と銃兎がやりたい放題やってそれをケラケラ眺めてるだけだった。
行き場のないやるせない怒りは左馬刻を一発叩いて収めたけど。…ていうか、なんでわたしを呼びつけたんだろ。
そんな事を思いながらガチャリと玄関を開けると、美味しそうな匂いがわたしを包んだ。
「おかえり」
「ただいま」
「ちょうど夕飯が出来たところだ。食べよう」
テーブルに綺麗な料理が並ぶ。
手を洗って、理鶯と向かい合って座ればいただきます、と手を合わせた。
こんな美味しい料理を毎日食べられるわたしはかなりラッキーな人間だと思う。
…ほんとに。
「理鶯、今度出掛けよう」
「ああ。どこに行きたいんだ」
「理鶯が決めて。…お礼したいから、…いつもご飯作ってくれるお礼。」
こう改めて口に出すとなんか恥ずかしい。
それなのに理鶯はわたしを見つめたまま固まってしまっている。…いやいやはやくなにか言ってよ、
「ちょっと、理鶯!」
「…ああ、すまない。少し驚いて、」
「わたしがお礼とかしなさそうな人間に見えるから?」
それはそれで悲しいけど。
「いや違う。礼が欲しいなど一度も考えたことがなかった。小官が料理を作ってそれを貴殿が美味しい、と言って食べてくれるだけで充分だ」
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LOKO - ずっと探してました!素晴らしい作品をありがとうございます (2021年6月12日 13時) (レス) id: 2cf4de4ba9 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - すごく面白かったです。甘々で、凄く好きな作品でした!もう更新はしないのでしょうか?とても好きになってしまった作品なので少し悲しいです。待ってます。 (2019年9月3日 7時) (レス) id: 1bc282c048 (このIDを非表示/違反報告)
涙香 - まずありがとうございます!!←理鶯は天然だけど何処か色気があって雄みがあるんですよね…!!それが匠の様に表現されていて本当に悶えました←本当にこの作品大好きです…! (2018年11月26日 1時) (レス) id: b0edcd9996 (このIDを非表示/違反報告)
タピオカ(プロフ) - 理鶯って天然って云うか鈍感なところあって、いいですよね!更新頑張ってください (2018年7月17日 2時) (レス) id: df53b8b7ae (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 最高です……( ゚∀゚)・;’.、グハッ!! (2018年6月27日 9時) (レス) id: d9386c92f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いさ | 作成日時:2018年6月14日 19時