主導権はどちら？【毒島メイソン理鶯】

よん ページ7

*


「おまたせ〜」

「オイ、おせーぞ！」

「来てあげたんだからありがとうくらい言ってよ」

「俺様待たせてんだからごめんなさいくらい言えや」


待ち合わせ場所に着くと左馬刻がすっごい機嫌が悪いまま迎えてくれた。タバコ噛んでるし…。



例えば。
待ち合わせとかして、理鶯だったらたくさん待たせても文句言わないで優しい顔してくれるんだろうなあ。むしろ、『遅かったので心配した』とか。言いそう。うん、言う。


……って、なにわたし理鶯で妄想してんの？


「…で、どこなの」


自分でもよく分からない妄想を掻き消すように左馬刻に問い掛ける。


「今そこにいる」

「ふうん、」


くい、っと親指で指された方を見るとうす暗い裏路地。


「行くぞ」


頗る機嫌の悪い左馬刻の隣に並んで歩く。

チラチラ人に見られるのはおそらく左馬刻の目付きがビックリするくらい悪いから。


というかそもそも。ヨコハマで暴れるなんて間抜けな事をする奴がいなければわたしは今頃気持ちよく寝てたのに…！
ああそう考えたらイライラしてきた。
無理やり呼びつけた隣を歩くコイツにも多少はイラつく。


「…、！オイ、ストップストップ。人ぶっ殺しそうな顔しながらふたりでどこ行くんですか」


ガッと割と強い力で肩を掴まれた。振り返るとそこにいたのは、呆れ顔をした銃兎。


「あ〜もう邪魔しないでよ！銃兎！離して！」

「てめーかよ銃兎。邪魔すんじゃねえ。離しやがれ」


息のぴったり合った私たちをじとりとみながら、というか特に私を見ながら銃兎は言った。


「…浮気か」

「へ？」

「理鶯が知ったら悲しむだろうなァ」


は？なんでそこで理鶯が出てくるワケ。



「悲しませとけや」


けっ、と唾を吐くように左馬刻はそう言った。

ご→←HappyBirthday3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す